2021年1月27日水曜日

断章33 機能財政論の真実、もしくはラーナー1951、もしくは中野剛志のアレ | 不自由な思考をめぐって

断章33 機能財政論の真実、もしくはラーナー1951、もしくは中野剛志のアレ | 不自由な思考をめぐって
断章33 機能財政論の真実、もしくはラーナー1951、もしくは中野剛志のアレ | 不自由な思考をめぐって
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断章33 機能財政論の真実、もしくはラーナー1951、もしくは中野剛志のアレ

 ミスター機能財政ことアバ・ラーナーの Economics of Employment(1951年)の印象的な冒頭の一説を nyun 訳で紹介します。

 ラーナーの導入はなかなかカッコよくて、経済運営を「未来の運転席にハンドルがない車」になぞらえているのです。ビル・ミッチェルのブログによれば、ラーナーは1941年に書いたエッセイのネタをバージョンアップして書き直したのだそうです。ここでは、このミッチェルによる引用をそのまま翻訳します。

 なぜこれを紹介する気になったかと言えば、中野剛志が言うところの「ラーナーが提唱した操舵輪アプローチ」の話が、当のラーナーの言っていることと噛み合っていないからなんです。

 中野はラーナーらのこの議論を長期的対応か短期的対応かの対比だと捉えているように見受けられます。でも、真実はそうではなく、「事後的な対応」はよくないから「事前の対応」でないとダメ!という話なんですね。

 JGPだって、失業者が出てから対応するのではなく、失業者なんてありえない状態にしておくという発想なわけですよ。

 さらに中野は「総需要管理政策であればインフレ率や失業率のようなマクロ経済パフォーマンスの定量的指標のいくつかで判断すればいいだけだからです」とかいうんですけれど、んだから、そういう事後的な裁量はやめろっていう話です。はじめっから。

 …

 気を取り直して、行ってみましょう!せめてここに来る皆さんにだけはラーナーの真実を。中野よりはるかに面白いと思いますよ。

 私たちの経済システムは、見知らぬ惑星の宇宙人に見せるのは恥かしくなるような代物です。やり方を逆にしなければいけません。バック・ロジャースの惑星冒険物語の調子で想像してみてください。あなたは未来のハイウェイを眺めているとして。ハイウエイは広くてまっすぐで、車が道路から飛び出さないように両側の縁が切り立った造りになっています。まるで逃走中かのような車が見えてきました。スピードの出しすぎで今にも道路を飛び出しそうに見えます。 しかし道路の端に近づくと、前輪がターンしてセンター方向に向き直り、そのまま反対側の端に近づくと同じようにまたセンターへとターンするのです。この繰り返しでそのままずっとジグザグに走りながら視界から消えていきました。あれではいつかはクラッシュするのではないかと心配していると、別の車が同じような走り方で現れて、あなたの近くで急停止します。ドアが開き、「乗りますか?」と声をかけてきました。車の中を覗き込んで、思わず大声を上げてしまいます。 「えええ! ハンドルがない!」。

 「ハンドルなんてないのが当たり前だろう!」男は少し怒った様子。「だって前の座席が窮屈になる。昔はギアシフトレバーがあって危険だったけどハンドルなんてもっと危ないじゃないか。車が端に寄ったときに誰かがハンドルにしがみついていたらどうなる?前輪の自動回転をダメにしてひっくりかえっちゃうだろうが。それに、われわれは民主主義を信じている。生死を決めるような権限を一人だけに与えることはできない。それでは独裁だ。」

 「独裁反対!」同乗の人たちが声をそろえる。

「車を左右に動かす方法が気になるなら、忘れてちまいな。」と男は続けます。「ブレーキが素晴らしくて十回中九回は衝突を防げるんだ。われわれの道路の縁の構造は高機能だから道路から逸れずに何百マイルも移動できる。それに事故の生存者を近くの迅速に病院に運んだり車の残骸を道路から一掃して野原に積み上げて、避けられないこともあるということを思い出させる効率的なシステムがある。」  

 そう言われて周囲を見渡すと、廃車や燃え尽きた車の山が見える。男が続ける。「感動的だろう?物事は改善されていくんだ。向こうには前に走った車のタイヤ痕に印をつけて写真を撮っている人たちがいるだろう?彼らはこの車の走行痕の写真も撮るんだ。そして写真を研究室に持ち込んで、カーブの周期的な特性や規則性の度合い、ターンからターンまでの平均距離、左右の振幅とかを分析するんだよ。もしいつか彼らの意見が一致を見たら、我々にできることとはいったい何かがわかるかもしれないね。今のところ彼らは、それが車の周期的なジグザグ運動が路面の種類や形状によるものなのか、それとも車の長さによるものなのか、あるいはタイヤのゴムの種類によるものなのか、天候によるものなのか、いろいろ論争している。馬とバギーの時代に戻らない限り周期運動をなくすのは無理だという意見もあるけれど、進歩を信じているからそれはできないね。で、乗ってみたい?」



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