https://youtu.be/1VIk4FIshp0
レイのミンスキー本でも言及されていた。
以下邦訳『ミンスキーと〈不安定性〉の経済学』 より
#7《「過ぎ去った日々」の米国では、ジョージ・ベイリー型の貯蓄金融機関が三十年固定金利の住宅ローンを実行し、その住宅ローンを満期まで保有し、預金に似た相互出資持分を発行して自らの住宅ローン・ポジションを調達していた。あなたが映画『素晴らしき哉、人生!』を見たことがあるならば、(ジミー・スチュワート扮する)ジョージ・ベイリーが経営する貯蓄金融機関、ベイリー建築貸付組合の「取り付け」が始まった際、ジョージが顧客たちに、預金はその地域の住宅に「投資」されたものなので下ろさないで欲しいと懇願した場面を覚えているだろう。彼は、預金は、良き隣人たちと同様に、すべて安全であると訴えた。実際、ジョージは正しかった。一九七〇年代まで、米国の住宅所有者が住宅ローンで債務不履行に陥ることはほとんどなく、貯蓄金融機関はほとんど倒産することがなかった。これが安全かつ健全な住宅金融システムの姿だったのである。》
素晴らしき哉、人生!(字幕版)
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55:00~58:30
15:
グリーン・ニューディールの「費用」 元米国議会予算局長のダグラス・ホルツ=イーキン(Douglas Holtz-Eakin)が率いるアメリカン・アクション・フォーラム(AAF)が、93兆ドル〔約1京2000兆円〕という、よく引用されるGND費用見積もりの出所である。この報告書の著者は、「提案の幅広さは、マクロ経済的な影響だけでなく、提案の間に大きな波及効果があることを示唆している。これは、理想的な分析は、それらを同時に検討することであることを意味
する」と認めている(Holtz-Eakin et al. 2019)。彼らはGNDの構成要素ごとに政策の分析を行っただけである。しかしそれはGNDの反対派が様々なプログラムの資金面での「費用」をすべて足し合わせて、93兆ドルという数字にしがみついて、よく言えば希望的観測だ、悪く言えば孫たちを破産させる恐ろしい政策だと主張することを、予防できなかった。 ここで我々が行うのは、ホルツ=イーキンや彼の共著者たちが行っていないことである。我々は、GNDプログラムのリソースの費用と同様に、様々なプログラムによって生じるリソースの節約を考慮し、最終的に、利用可能な実物リソースから見てGNDが手頃であるかどうかを判断するのである。我々が示すように、GNDのいくつかの部分はリソースを生み出すものであり、単に予測されるドル費用を集計することは非常に誤解を招くものである。 例えば、GNDの試算で最も高い「費用」は、雇用保証(JG)とメディケアの拡大を含む「経済アジェンダ」によるものであり、これらは合わせて42兆ドルから81兆ドルの費用がかかるとされていることに注目されたい。後述するように、これらのプログラムはいずれも、GNDの他の構成要素にリソースを動員するものである。したがって、これらを合計して93兆ドルという数字を得るための純費用としてカウントすることは意味がない。 はっきりさせておくが、我々はGNDの実施により、民間部門から政府部門へ支出がシフトすることは認識している。しかし、このこと自体がインフレ促進的であるという先験的な理由がない限り、一般的なケースでは、リソースを雇用するために使われるドルが政府から出ようと民間から出ようと、インフレの観点.......からは違いがないという立場をとっている(これはケインズも使った方法である)。ステファニー・ケルトン(Stephanie Kelton)が言うように、キャッシュ・レジスターは差別をしないのである。実際、以下に述べるように、少なくとも医療分野では、政府支出1ドルは民間支出1ドルよりも多くの医療を購入できるという強い証拠がある。したがって、単一支払い機関としての政府にシフトすることは、インフレ抑制の圧力をもたらすだろう。 また、以下で我々は、政府支出が増えたからといって、増税が必要だとは考えない。我々の立場は、増税をすべきなのは、過剰なリソース需要から生じるインフレに対抗するためだというものである。単に歳出と税収のバランスをとるために増税するのではない。支出が増えてもインフレ圧力が生じないのであれば、増税の必要はない。いずれにせよ、インフレ圧力に対抗するためには、増税が必ずしも最善の方法ではないことは、以下で述べるとおりである。
万人の雇用を実現する雇用保障(JG)、そしてGNDのためのリソースの供給源 GNDは、雇用保障プログラム(JG: Job Guarantee)による完全雇用を支持している。働きたい人が誰でも有給の仕事にアクセスできる真の完全雇用プラットフォームである。JGは常にMMTの重要な部分であった。完全雇用を達成するために総需要を増加させると、完全雇用の目標に到達する前に、おそらく過剰なインフレを引き起こすだろうと、我々は長い間主張してきた。そこで、MMTはJGに強い信頼を置くのである。 このプログラムでは、基本的な賃金を提供し、働く意欲のある人にはGNDの仕事を提供する。これは商品価格維持プログラム(commodity price support program)のように運用される。賃金を、民間部門と競争して押し上げることなく、このプログラムの賃金を下回らないようにするものである。民間の雇用主は、労働者を必要とする場合、(新しい)最低賃金(すなわちプログラムの賃金)以上の報酬を支払うことで、いつでもこの雇用プールから採用することができる。 多くのJG提案が飛び交っているが、レヴィ研究所(Levy Economics Institute)の提案が最も野心的であろう(Wray et al.2018)。この提案の詳細や目標についてよく知らない人もいるかもしれないので、GNDの費用評価に進む前に、レヴィ研究所版JGを少し詳しく見てみることにする。レヴィ案は、時給15ドル〔約1950円〕(GNDが求める全国最低賃金と同額)に加え、手厚い福利厚生(賃金額の20%を支払えばメディケア形式の医療や無料の保育が受けられる)と、材料費をまかなうために賃金額の25%を上乗せするというものである。このように、JGは完全雇用を実現するだけでなく、実質的な全国最低賃金である時給15ドルを確保する。これは法的最低賃金であるかどうかにかかわらず達成されるのである8。 レヴィのJGシミュレーションによれば、最初の10年間の連邦予算の年間純増加額は約4000億ドル〔約52兆円〕である(州予算は毎年530億ドルずつ改善する)。GDPの押し上げは年間約5600億ドル〔約72.8兆円〕であり、雇用の押し上げは約1900万人の新規雇用である(プログラムに参加した1500万人と民間部門の雇用400万人)。レヴィのシミュレーションには、雇用創出による貧困現象の結果生じるであろう社会保障や刑事制度の支出削減効果が含まれていないため、支出は高めに見積もられている9。
8 JGがなければ、正規の労働市場で仕事を得ることができない人々はその賃金を受け取ることができないため、法定最低賃金の15ドルは効果的な最低賃金ではないかもしれない(彼らは失業したままであるか、または最低賃金以下で非公式の労働市場で働くことを余儀なくされるかもしれない) 。
9 我々は、メディケイドの支出削減と勤労所得税額控除の縮小により、予算がいくぶん削減されると仮定した。これは、JGプログラム参加者の所得が増加し、プログラムの基準額を上回るためである。
20:
再生可能エネルギーとエネルギー効率 AAF(The American Action Forum)の試算によれば、「10年後に電力部門を温室効果ガス排出ネットゼロに移行するには、2029年までに5.4兆ドル〔約702兆円〕の設備投資が必要」とされる(Holtz-Eakin et al. 2019)。原子力のモラトリアムがない州では、エネルギーミックスは原子力が50%と、風力・太陽光・水力・地熱・蓄電池で50%となる。モラトリアムがある州では、風力・太陽光・蓄電池が100%となる。さらに、ネット・ゼロ・エミッションの交通システムに年間 2000 億ドル(中間値)、住宅ストックのグリーン化に年間 2900 億ドル(中間値)11を加えれば、2017 年の GDP の 5.3%に相当する金額(1 兆 300 億ドル〔約134兆円〕)が毎年必要となる12。 AAF試算にもとづく総括: 電力の温室効果ガス排出量ネットゼロ化: 年間5400億ドル ネット・ゼロ・エミッション輸送: 年間2000億ドル グリーン住宅保証: 年間290億ドル 合計: 年間1030億ドル GDPに占める割合: 5.3% Forbesに寄稿しているミルトン・エズラティ(Milton Ezrati)は、GNDの様々な構成要素について、様々な出典を引用して独自の推定値を提示している(Ezrati 2019)。ここでは、「グリーン化」事業に関する彼の推定値のみを使用する。物理学者クリストファー・クラーク(Christopher Clark)の試算によれば、再生可能エネルギーを100%に拡
11 AAFの10年間の試算では、ネット・ゼロ・エミッションの交通システムの金額は1兆3000億ドルから2兆7000億ドルの範囲であり、グリーン住宅保証は1兆6000億ドルから4兆2000億ドルの範囲である。我々は両者について中間値を用いている。
12 なお、年間費用の計算では、インフレを考慮していない。重要となるのはリソースの使用量であり、名目費用ではない。我々は費用を対GDP比で計算しているため、GNDの構成要素に対する年間支出は、名目GDPの成長と同じペースで価格が上昇すると仮定している。また、資源の使用は線形であると仮定しているが、初期費用が大きいプロジェクトもあれば、新しいインフラが整備された後に段階的に導入されるプロジェクトもあると思われる。
大するための費用は10年間で2兆ドル〔約260兆円〕になるとのことである。スマート送電網には 10 年間で 4000 億ドル〔約52兆円〕の追加費用がかかる(Electric Power Institute による試算)13。建物のアップグレードと改修には 10 年間で 2.5 兆ドルから 3.9 兆ドル(中間値で 3.2 兆ドル〔約416兆円〕)の費用がかかるとされる。グリーン化事業の総費用は、10 年間で 5.6 兆ドル〔約66兆円〕となる(年間 5600 億ドル、2017 年 GDP の 2.87%)。 Forbesの数字の総括: 100%再生可能エネルギー: 年間2000億ドル スマート送電網: 年間400億ドル アップグレード・改修: 年間3200億ドル 合計 年間5600億ドル 2017年のGDPに対する割合 2.87% The Center for American Progress(CAP)とThe Political Economy Research Institute(PERI)の2014年の報告書は、温室効果ガスの排出量をもっと緩やかに削減することを提案している。20年間で約40%削減し、年間の資本支出は約2000億ドル〔約26兆円〕である(Pollin et al.2014)。その2000億ドルのうち、1100億ドル〔約14.3兆円〕は低排出またはゼロエミッションの再生可能エネルギー発電に投資され、残りの900億ドル〔約11.7兆円〕は住宅や産業ビル、交通機関のエネルギー効率向上に充てられる(彼らの試算では、20年間の金額は輸送効率の向上を含むエネルギー効率化への投資は1.75兆ドル〔約228兆円〕、再生可能エネルギーへの投資は2.1兆ドル〔約273兆円〕である)。
PERIによる数値の総括:
低排出またはゼロエミッションの再生可能エネルギー発電: 5500億ドル
建物と輸送のエネルギー効率改善: 5500億ドル
公共交通機関の利用率向上: 210億ドル
年間合計: 1兆210億ドル
2017年GDPに占める割合: 5.24%
さらに20年間で2100億ドル〔約27兆円〕を公共バスの利用者を増やすために投資することができる(乗車1回あたり75セントで計算)。以下の数字は、時間軸を20年から10年に短縮し、温室効果ガスの削減率を40%から100%に拡大したものである(削
13 エズラティ氏は温室効果ガスの削減量についても非常に高い見積もりを出しているが、その出典は何か、またその数字が全世界のものなのか、米国だけのものなのかは明らかでない。このように明確でないため、今後の推計には含めないこととした。
22:
減を増やすための費用は完全な線形ではないが、これはおおよその推定値となり得る)。公共バスの利用者数の増加は、10年に短縮されただけで、スケールは変更されていない。これにより、年間1兆210億ドルという試算になった。 CAPとPERIの計画がバイオ燃料に大きく依存して自然エネルギーに移行するのに対し、スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン(Mark Jacobson)によるジェイコブソン計画は、風・水・太陽(WWS=wind, water, sun)100%を目指すものである (Jacobson et al. 2017)。ジェイコブソンによれば、計画を10年間実施した場合、10兆ドルから15兆ドル(Cassidy 2019)、(2017年の)年間GDPの5.13%から7.7%の費用がかかるという(10年間の中間値は12.5兆ドル〔約1625兆円〕、年間1兆2500億ドル〔約163兆円〕、2017年の GDPの6.41%)。 コロンビア・ビジネススクールのジョフリー・ヒール(Geoffrey Heal)は、3.3兆ドル〔約429兆円〕から6兆ドル〔約780兆円〕の設備投資によって、「米国経済は30年以内に2005年比で炭素排出量を80%削減できる」と試算している(Heal 2017)。これを100%にスケールアップすると(これも目安の数字ではあるが)、4.1兆ドル〔約533兆円〕から7.5兆ドル〔約975兆円〕になる。30年ではなく10年以内にこれを実施した場合、年間4100〜7500億ドル〔約53〜98兆円〕、もしくは2017年のGDPの2.1%〜3.84%(中点値5800億ドル〔約75兆円〕、2017年GDPの2.97%)の費用がかかると考えられる。 自然エネルギーの費用が急速に低下しているため、自然エネルギーへの移行を長期的に試算すると誤解を招く可能性があることを、念頭に置いておく必要があるだろう。石炭と原子力の生産費用がそれぞれ9%と23%上昇したのに対し、太陽光発電と風力の費用はこの10年でそれぞれ88%と69%低下している(Mahajan 2018)。Energy Innovationの調査によると、2018年にはローカルの風力や太陽光による再生可能エネルギーは、国内の石炭火力発電所の74パーセントよりも、発電費用が安かった(Hill 2019)。補助金がなかったとすれば、すでに全石炭プロジェクトのほぼ半数が損失を出している(Carbon Tracker Initiative 2018)。この数字は、2025年までにほぼ100%に増加すると予測されている。費用の低下(これは自然エネルギーの場合であり、非自然エネルギーの場合は費用が上昇する)がリソースの利用効率の上昇(同じ量のエネルギーを生産するのに必要なリソースが少なくなるように)を反映していると仮定できるなら、GNDに必要なリソースは時間とともに低下することになる。
31:
高所得者や富裕層への直接課税は、上位層の不平等を是正し、支出を削減することができる。これらのメリットを得るためには、資産と所得の両方に高い税率をかける必要がある。おそらく、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員が主張している税率(最高限界税率70%)よりも高い税率が必要だろう。 富裕層によるリソースの使用を減らすことができれば、GNDプロジェクトに使用するリソースを解放することができる。金持ちのために第3、第4の豪邸を建てる代わりに、貧しい人たちのための公営住宅を提供することができる。自家用ジェット機を製造する(そして燃料を供給する)代わりに、効率的な大量輸送機関を建設し、運営することができる。リソースの潜在的な放出は大きな意味を持つであろう。十分に高い税率を適用するための政治的・技術的な障害は大きい。富裕層は増税の動きに対抗する手段やインセンティブを持ち、税率が引き上げられた場合に納税を回避することも可能である19。しかし増税が実現できるかは予測不能であるため、どれだけの財源が確保されるかは試算しないこととする。 ケインズは1940年のパンフレットで、"Can the Rich Pay for the War?" と題する章で同じ問題を扱っている。富裕層が戦争の費用をすべて負担し、労働者階級は消費を増やすことを許されるべきであると主張する者がいたのである。ケインズは、金持ちに非常に高い税率を課しても、インフレを避けるために必要な消費の減少を実現できないことを示した(彼は、これを達成するためには「金持ち」と「中流」の所得の75%を取り上げる必要があると主張した)。 医療が政府に移管されれば、企業は賃金を上げ、消費とインフレを加速させることになるので、使用者が支払う給与税を税増すべきだと主張する者もいた。 しかし、使用者が医療関係費の節約分を労働者に与えるとは思えない。むしろ、この場合の節約は
19 Dean Baker (2019)も同様の主張をしている。
ケインズが「利潤を得る者(profiteers)」と呼んだ人たちの収入を増加させるであろう。(賃金を固定したまま)巨額のタナボタ利益を生み出し、自社株買いを促進するであろう(トランプ減税の効果も、投資を促進するはずだったものが、自社株買いをさらに促進しただけだった)20。これは、株式市場をインフレにする可能性はあるが、必ずしも現在のリソースの需要を増加させるわけではないため、インフレ的ではない。しかし、利益の増加は投資や消費の原資となるため、インフレ圧力となる可能性もある。次節では、医療費の連邦政府への移管によってもたらされる利潤が、インフレ圧力とならないようにするためのプランを紹介する。 その他のGNDの構成要素 提案されたGNDに含まれる、その他の小さなプログラムが多数ある。我々はこれらについて詳細な「費用計算」は行わない。学生の債務免除をのぞいては、我々はこれらのリソース(つまりインフレの可能性)についての優れた試算を知らない。しかし公立大学の無償化や公共インフラ、介護サービスの充実など、これらのアイデアのほとんどは、「それ自体の元が取れる(pay for themselves)」のに十分すぎるほど生産性を高めるであろう。ただし、長期的には生産性を高めるとしても、段階的に導入している間は、生み出す以上のリソースを消費する可能性がある。我々はこれらの労働者を、差し引きでリソースを供給しないものとしてカウントする。ただし1つだけ例外がある。前述のように、JGの労働者の半数はグリーン化事業に従事しており、リソースの供給者と想定される。残りの半分の労働者は、ケアサービスに従事しており、リソースを創出しないものと想定される。彼らは所得を稼いでより多く消費するため、これらの労働者はリソースの純利用者としてカウントされる。 ケアサービス JG労働者の多くは、上述したように、人々のため、コミュニティのため、環境のためのケアサービスを提供する(Tcherneva 2018 を参照)。この種の事業がどのように分担されるかは予測できないので、JGだけで必要なリソースを供給できるかどうかは判断できない。 ここでは、750万人のJGワーカーが、チャーネヴァの言うように、若者や老人、障がい者へのケアを行い、地域や人々のために働くと仮定する。これらの労働者は、(広義の)GNDプロジェクトにリソースを提供するが、(後述の労働者自身の改善を超えて)国内の生産性を高めることはないと仮定する。これは生産性を向上させるような
20 マルコ・ルビオ上院議員の事務所が最近発表した、自社株買いの詳細を記した報告書(Rubio 2019)を参照。
大規模な公共インフラプロジェクトではない。しかし、生活の質を向上させ、間接的に生産性を向上させる可能性はある。例えば、保育を提供することで親がフルタイムで働けるようになり、欠勤が減り、生産性が向上する。 我々はJGをGNDのケア・プロジェクトへのリソース供給源としてカウントしているが、生産性向上の源としてはカウントしていない。JGは、他の方法では雇用されない労働力を吸収するが、リソースの需要を減らすことはない。ケアサービス自体は、リソース利用の面では差し引きゼロ(net neutral)であると仮定する(JGの労働者のみを雇用する)。21 学生ローンの救済、公立大学の無償化、そしてJGの職業訓練 アメリカでは、大学にかかる費用が高いため、多くの学生(およびその家族)が、高等教育を諦めるか、あるいは学生ローンという形で多額の借金をするかの選択を迫られている。現在、約4400万人が学生ローンの負債を抱えており、その総額は約1兆4000億円に達する。多額の借金は、延滞や債務不履行(信用格付けに影響)、家族形成や住宅購入の延期、他の消費の減少、学生が魅力を感じない低収入の職業を選択せざるを得ないことなど、さまざまな好ましくない影響を及ぼす。教育費用の高さは、労働力の生産性の低下、消費水準の低下、税収の減少、またそれによる政府支出の減少(特に州や地方自治体レベル)など、さまざまな経路を通じてGDPや雇用の減少につながる。 こうした効果は厄介である。というのも、フルワイラーらが報告しているように、高等教育もより高い生産と雇用を通じて「元が取れる」ことを示すかなり強い証拠があるからだ(Fullwiler et al. 2018)。 Fullwiler et al.(2018)は、連邦政府が保有するすべての学生ローンをキャンセルし、民間が保有するローンの支払いを肩代わりするという前提で、学生債務救済の効果をシミュレーションしている。彼らの試算によれば、毎年平均860億ドル〔約11兆円〕から1080億ドル〔約14兆円〕(10年間のシミュレーション期間では8610億ドルから1兆8300億ドル)だけGDPが押し上げられると試算している(GDPの0.5%程度)。失業率は0.22〜0.36%低下し、年間平均120万〜150万人の新規雇用が創出され、インフレ率はベースラインより0.09〜0.3%ポイント上昇する。連邦政府予算への正味の影響は、ベースラインより0.29〜0.37%ポイントの赤字増加となるが、州予算は0.11%改善されることになる。
21 なお、ここでも、これらの労働者による消費は、リソースの使用としてカウントしている。
46:
我々の要点
1. 第一に、GNDに必要とされるリソースは、第二次世界大戦の経験に比べれば、比較的控えめである。
2. 戦時中の膨大なリソース需要も、インフレ対策措置がとられる限り、必ずしも高インフレにはつながらなかった。
3. 潜在GDPの常識は必ずしも良い手引きではなく、非常に大きく修正される可能性があり、非常に儚い。
4. 現在において、GND支出によって予想されるリソース需要の増加は、プログラムが慎重に段階的に導入される限り、余剰生産能力で十分対応できるだろう。
5. 高い需要を維持することは潜在能力の推定値を大幅に増加させる可能性があり、一方、スラックを維持することは推定値を大幅に減少させる可能性がある。
6. 〔サマーズのいう〕長期経済停滞は、おそらく避けられないものではなく、GNDはより力強い成長への回帰をもたらすだろう。
総括と結論
6 ケインズが『戦費調達論』で反駁していたのは、「インフレ税」によって経済が戦争の現実に適応できるようにするという政策であった。ケインズは適切な政策によって、ケインズは「危急の戦争から、積極的な社会的改善をつかみとる」ことができると考えた(Keynes 1940, iii)。気候変動によって引き起こされる災難に対して、(干ばつやハリケーンに対してすでに行っているように)そのつど対応する消極的な態度をとるか、この危機をプログレッシブな変革のきっかけとして利用するか、どちらかであろう。このため、GNDは幅広い社会的イニシアチブを含んでいる。すべての人々のための仕事や、永久戦争の終結、金持ちへの課税、学生ローンの軽減、公立大学の無料化、子供と高齢者のケアへのアクセスなどである。同時に、これらのGNDの構成要素を、インフレを大きく上昇させないペースで実施する計画を立てる必要がある。もしインフレと戦わなければならないのであれば、その戦いは労働者の重荷にならないようにする必要がある。インフレ税は消費を永久に低下させるが、繰延給与は消費を先送りするだけである。 次の表は、各カテゴリのリソースの値を、すなわち解放されたリソースと、必要なリソース、そしてリソース需要の純増加を示す。
表6. GNDのリソース純費用(対 GDP 比)のまとめ
- グリーン化プロジェクト 5%
- メディケア・フォー・オール -3.7%
- 雇用保証 1%
- 富裕層への課税 0%
- 永久戦争の終結 -1%
- 給与税課徴金 -2%
- その他のGNDプロジェクト* 0%
リソース費用の純増 (給与税上乗せ分あり) -0.7%
リソース費用純増分 (給与税上乗せ分なし) 1.3%
注: リソースの供給はマイナス、リソースの使用はプラスで表した。
* 学生の債務救済や、大学無償化、公共インフラ、ユニバーサル・チャイルドケア(一部はJGのリソース要求に含まれる)を含む。
我々の計画は、給与税の上乗せ分を課した場合、リソースの使用がほぼゼロとなる。GDPの1.3%に相当する需要の増加(給与税の上乗せ分がない場合の予測)も、さほどのインフレを起こすとは考えにくい。給与税の上乗せがなくても、インフレ圧力が生じるとは思われない。しかし、これは選択肢として残しておこう。そしてもちろん、必要に応じて上乗せ税を高くしたり低くしたりすることは可能である。さらには、仮に上乗せ税が導入されても、家計はより豊かになるだろう。
注意点 :
我々は、化石燃料や医療セクターから放出されるリソースの中には、GNDプロジェクトに適さないものもあることは認識している。しかしこれらの労働者の多くが、GNDプロジェクトに従事したり、運営を手伝ったりすることで、貢献できるであろうことは十分に考えられる。 一方、需要増に対応するためのリソース供給源としての輸入については、これまで議論してこなかった。他国もそのリソースを自国の気候変動対策に動員するであろうから、グリーン化事業に必要な生産物(太陽光パネル・風力発電装置・電子輸送機など)の輸入に、過度に依存すべきではないであろう。しかし、雇用が増加して一般消費が押し上げられると、少なくともその一部は輸入消費財で賄われることになる。これは必ずしも避けるべきことではなく、多くの国がグリーンテクノロジーの輸入に必要な
資金を得るために、消費財を輸出する必要があるためである。このことは、過去20年間そうであったように、インフレ圧力を弱めるのに役立つ。このことは、FairモデルによるJGプログラムのシミュレーションで、1900万人の雇用を増やし、時給を15ドル以上に引き上げ、年間のGDPを5兆ドル増加させても、インフレ圧力がほとんど見られなかったことの説明にもなる。 また、使用者と被用者が支払う必要のなくなった医療保険料ぶんのタナボタ利益など、我々が推定していない総需要の増加もある。「種々の」GNDプロジェクト(公共インフラの追加や、公立大学の無償化、職業訓練、保育)の多くはリソースを必要とするが、生産性を高めることでリソースも供給されると主張し、それらのリソース使用は差し引きゼロと仮定している。長期的にはそうなるはずだが、初期にはリソースの純需要が発生する可能性がある。これがインフレ的なものとなるかどうかは、リソースが利用可能になるにつれて段階的に利用されるかどうかにかかっており、そのためには慎重な計画が必要である。 我々の主な目的は、GND の「費用」を分析するための枠組みを設定することであり、「費用」の特定の推定値を広めることではない。我々は、「予算は93兆ドルで!」というような議論から、リソースの必要性と利用可能性の慎重な評価へと移行することを望んでいる。GNDのためのリソースを確保するために、リソースの使用を減らすことが必要になった場合、どのような方法がベストなのか、十分な情報に基づいて議論することが必要である。我々は、望ましい方法として、繰延給与について議論してきた。しかし、もし必要なリソースが我々の試算よりはるかに大きいことが判明したら、第二次世界大戦で成功した他の方法を検討することも可能だと考えている。それは愛国的貯蓄(自発的な繰延消費)や価格統制、配給制、上乗せ税などである。最も重要なことは、もし徴税を使うなら、「財源を増やす」ためではなく、「リソースの使用を減らす」ためのものであるべきだということである。
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素晴らしき哉、人生!

左からドナ・リード、 ジェームズ・ステュアート、キャロライン・グリムス
『素晴らしき哉、人生!』(すばらしきかな、じんせい!、原題:It's a Wonderful Life)は、1946年のアメリカ合衆国のファンタジードラマ映画。監督はフランク・キャプラ、出演はジェームズ・ステュアートとドナ・リードなど。
作品情報
フランク・キャプラ、ウィリアム・ワイラー、ジョージ・スティーブンスの3人が協力して設立したリバティ・ピクチャーズの第1号作品。
アメリカ映画協会(AFI)が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位に、同協会の「アメリカ映画ベスト100」では11位にランクインしている。
2003年のAFI選定「ヒーローと悪役ベスト100」ではジョージ・ベイリーがヒーローの9位に、ポッターが悪役の6位にランクイン。
2008年のAFI選定「10ジャンルのトップ10」ではファンタジー部門3位にランクイン。
2014年のアメリカの大手映画批評サイトRotten Tomatoesが発表した「2014年版クリスマス映画ベスト25」には第1位にランクイン[2]。
これまでのキャプラ映画の集大成として1946年に公開するも、当時は興行的には惨敗。
1946年(第19回)のアカデミー賞では作品賞を含めた5部門にノミネートされるも、『我等の生涯の最良の年』や『ヘンリィ五世』の台頭により無冠に終わった。
アメリカでは不朽の名作として毎年末にTV放映されることから、それまでキャプラを知らなかった若い世代から再評価され、今ではクリスマスにこの映画が流れるのは定番となり、アメリカで最も親しまれた作品としてよく知られる映画である。その後、権利はナショナル・テレフィルム・アソシエイツ(英語版)(NTA)が買い取り、現在はパラマウント映画から正規版DVDが発売されている。また、公開から50年が経過しているためパブリックドメインとなっている。
アメリカではどの大学の映画学科でも、この映画を必ず見せて、学生の指針としている。[要出典]
脚本はフィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン(英語版)の作品『The Greatest Gift』から着想を得たもの。
あらすじ
1945年のクリスマスイブ。天国の大天使が二級天使のクラレンス(ヘンリー・トラヴァース)を呼び、ニューヨーク州のベッドフォールズという町で絶望に陥っているジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュワート)を救うよう命じ、その準備としてジョージのこれまでの人生の歩みをクラレンスに見せる。
小さな住宅金融会社を経営し、貧しい人々のために働く父と優しい母のもとで育ったジョージ。友達と遊ぶときはその中心に立ち、女の子からの人気も高い。しかし、冬の池に落ちた弟の命を救ったときに左耳の聴力を失う。
父は自分の会社をジョージに継いでほしいと願っているが、ジョージはこの小さな町を出て世界中を回り、大学に進学して、都市計画に関わる建築家になること、大きな仕事に携わって大金を稼ぐことを夢見ている。
高校を卒業し、海外旅行と大学進学を控えていたジョージは、卒業記念パーティで友人の妹のメアリー・ハッチ(ドナ・リード)を紹介され、すぐに仲良くなる。メアリーはジョージに想いを寄せるが、ジョージは今後の夢の実現のことで頭がいっぱいである。
ところがその夜、父が急病で倒れ、まもなく死んでしまう。町で一番の富豪で金儲けのことしか考えないヘンリー・ポッター(ライオネル・バリモア)が父の死を機に会社を潰そうとしていることを知ったジョージは、大学進学を諦めて会社を継ぐことにし、自分が使うつもりだった学費は弟のハリーの大学進学に使われる。当初、大学を卒業した後はハリーが会社を継ぐことになっていたが、ハリーは卒業とともに結婚し、妻の父が営む工場で働くことになったため、町を出たいというジョージの夢は再び絶たれることになる。
失望していたジョージだったが、進学先のニューヨークから戻ってきていたメアリーと再会する。メアリーはジョージを愛し続けていた。ジョージも彼女に愛を告げ、ふたりは結婚する。しかし婚礼の日、富豪のヘンリーがふたたびジョージの会社を潰そうと策略をしかけてきたため、預けていた金を引き出そうと町民たちが押しかけてくる。ジョージとメアリーはハネムーンの費用として持っていた2000ドルを配って人々を安心させ、取り付け騒ぎは収まって会社は廃業を免れる。
二人はあばら屋をリフォームしながら新婚生活を始め、4人の子供にも恵まれて貧しいながら幸せな生活を送るようになる。ジョージは貧しい人々のために宅地開発を行い、安価な住宅を提供する仕事を進めて人々の信頼を得る。一方、法外な家賃を取っていたヘンリーの借家からは人がいなくなり、危機感を募らせたヘンリーはジョージを高額の金で抱き込もうとするがうまくいかない。
やがて第二次世界大戦が始まり、ジョージは耳の障害で徴兵を免除されるが、弟のハリーは海軍のパイロットとして活躍し、名誉勲章を受けた彼の記事が新聞の一面に載ることになる。
1945年のクリスマスイブの朝。町は英雄ハリーの歓迎準備でにぎわっている。ジョージの右腕として働いていた叔父のビリーは会社の金8000ドルを銀行に預けるため出かけたが、あろうことかこの金を紛失してしまう。実はその金はひょんなことからヘンリーの手に渡ってしまっていたのだった。この日は会社の監査があり、この8000ドルがないと会社が潰れてしまう。ビリーとジョージは必死に金を探すが見つからない。
絶望的な気持ちで帰宅するとメアリーと子供たちは楽しそうにクリスマスの準備をしているが、ジョージは家族に八つ当たりをして家を出ると酒場で酒をあおり、ついには自殺によって保険金を得ることを考えて川に向かう。ところがジョージの目の前で老人が川に飛び込んだため、ジョージも飛び込んでその老人を助ける羽目になる。この老人こそ二級天使のクラレンスで、ジョージの自殺を止めるために自ら飛び込んだのだった。
自分は死ぬしかない、自分がいない方がみんな幸せになっただろうと語るジョージに対し、彼の考えを改めさせようとするクラレンスは敢えて「ではその通りにしよう」と言う。ジョージが戻ると町にはけばけばしいネオンが光り、人々はみな荒んだ心で暮らし、知人や友人だった人々は誰もジョージのことを知らず、住宅金融会社はとうの昔に廃業、我が家は廃屋、そしてメアリーは独身のまま図書館に勤務していた。もちろん彼女もジョージのことなど知らない。
自分の人生が素晴らしいものだったことに気づいたジョージが「すべてをもとに戻してほしい」と心から神に祈ると、願い通り世界はもとに戻り、ジョージは大喜びで家へ帰る。一方メアリーは町の人々に夫の窮状を伝えて助けを求めていた。人々はジョージの家に集まって次々に金を寄付し、必要だった8000ドルを大きく上回る額が集まる。ジョージとメアリーは幸福をかみしめながら人々とともに「蛍の光」を合唱するのだった。
キャスト
※括弧内は日本語吹替(Netflixにて配信)
スタッフ
日本語版
- 演出:岩田敦彦
- 翻訳:赤池ひろみ
- 制作:ACクリエイト
受賞
備考
注釈
- RKO Feature Film Ledger, 1929-51, p116
- “クリスマス映画ベスト25発表!1位は『素晴らしき哉、人生!』”. シネマトゥデイ. (2014年12月17日)none
- ^ 『ワンダフルライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』「序言及び謝辞」(ハヤカワ文庫版15頁)より
- ^ 「アクターズ・スタジオ・インタビュー」
- ^ 文藝春秋 1999年4月号
- ^ “赤い羽根募金の助成で現在行われている活動(平成25年度) 特定非営利活動法人 バリアフリー・シネマ&ライフ・ネットワーク 『名作映画「素晴らしき哉、人生」バリアフリー化プロジェクト』”. 央共同募金会. 2015年1月14日閲覧。
学術的参考文献[編集]
- 杉野健太郎 「アメリカ映画における社会変動とスタイル変容 ― 『素晴らしき哉、人生!』から『クラッシュ』へ」、杉野健太郎編『映画のなかの社会/社会のなかの映画』(映画学叢書[監修加藤幹郎]、ミネルヴァ書房、2011年)所収。
外部リンク[編集]
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