http://www.the-journal.jp/contents/nakamura/2008/09/post_111.html
「乗っ取り屋」ピケンズ
今から80年前にオクラホマ州の田舎町ホールデンビルに生まれたブーン・ピケンズはオクラホマ州立大学を出ると石油産業でしばらく働いた後に、仲間二人を語らい手持ち金をはたき、借金の限りを尽くして石油探索商売に乗り出した。
今日彼の資産は総額500億ドルに達し世界長者番付第117位にある。ピケンズは日本では「乗っ取り屋」で知られている。20年近く前に、彼はトヨタ傘下の小糸製作所の株式を集め日本の自動車業界への切込みを試みた。日本は官民上げての防戦で乗り切り、彼の名前はそれ以降日本では浮上していない。
オクラホマ生まれだが彼の舞台はテキサスである。彼は地下資源商売で巨利を博しながら、これが枯渇する将来を想定し「無限に再生可能な太陽光、風力を利用するためには、広大な地表が地下以上の価値を持つようになる」と20年前から主張していた。これは石油業界の「21世紀以上の我々の舞台は世界の砂漠」といった観測と共通する。すなわち石油会社はすべての資源を掘り尽くした後は、「太陽光の受け皿となる大地を、捨て値で買ってしまう」との戦略を既に開始、スーダン、リビア、サウジの砂漠地表利権を買い始めている。ピケンズは同様の読みから、テキサスの大地を買い続けてきた。日本資本がマンハッタンのロックフェラーセンターや、ぺブルビーチゴルフ場を「仕掛けられた高値」で買いあさっていた同
時期にである。
私費200億ドルを投じて購入したテキサス・パンハンドル北部バンバ近郊の土地使用権はその一つであった。ここはアメリカ一、世界有数の強風が四六時中吹きぬく地域として知られている。ピケンズがここで買ったのは土地ではない、そこを吹き抜けるリサイクルする太陽と地球の合作し続ける風力エネルギーだ。アイデアは、これは彼が40年前に地下の石油資源利用の可能性を買い込んだことと完全に共通する。
ピケンズは土地の手当てが完了すると、今度は5800万ドルを投入して、「アメリカが毎年外国原油を輸入する7000億ドルを2020年までに半減させよう」との全国的なマスコミ・キャンペーンを開始した。今日多くの人々が「アメリカは毎年7000億ドル(77兆円)の資金を外国に移転している」と知るのには、彼のキャンペーンが大きく貢献している。
ピケンズの風力発電計画
彼は「ピケンズ計画」の紹介をテレビ広告で行う。彼の買い込んだテキサス南部を基点とし、ノースダコタからカナダ国境に至るアメリカ中央部に総計20万基の風車を建設し南北20キロ、東西100キロに及ぶ「風の回廊」を築こう、というもの。この風力が「アメリカ総電力の20%を賄う天然ガスにとってかわる」ということは、現在発電に使われている天然ガスを解き放ち、これを自動車用に振り向けることで、7000億ドルの海外流出を半分に削減できるという。テレビ広告でピケンズは「我々は現在年間7000億ドルの金を石油輸入に支払っている。人類史上例の無い巨大な国家な『富の移転』である。それによりわが国は崩壊の危険をおかしており、私は今年の大統領選挙において、この問題を最大の争点に提案するものである」と語りかける。
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