2021年6月29日火曜日

21世紀の経済政策 浜田宏一

21世紀の経済政策 浜田宏一

イエール大学時代の師であるトービンの話題が所々出て来る。
リフレ派として一度金融政策へ傾斜し、その後財政政策へ回帰していく姿は、放蕩息子の帰還を連想させる。








『21世紀の経済政策』浜田宏一 
講談社 2021/06/28

目 次
まえがき──「日銀理論」に洗脳されていたマスコミ 本書の成り立ち

第1章 アベノミクスの実践者
安倍晋三(第九〇・九六~九八代内閣総理大臣)
 岩田規久男(元日本銀行副総裁) 
山本幸三(元内閣府特命担当大臣)
中原伸之(元日本銀行政策委員会審議委員) 
本田悦朗(元スイス駐箚特命全権大使兼欧州金融経済担当大使)
髙橋洋一(内閣官房参与)
中川秀直(元自由民主党幹事長)

第2章 リフレ派
原田泰(元日本銀行政策委員会審議委員)
竹森俊平(慶應義塾大学経済学部教授)
野口旭(専修大学経済学部教授)
飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授)
小沢鋭仁(元環境大臣)
馬淵澄夫(元国土交通大臣)

第3章 ノーベル賞受賞者と世界的スケールの経済学者
青木昌彦(スタンフォード大学名誉教授)
清滝信宏(プリンストン大学教授)
林文夫(元コロンビア大学教授・政策研究大学院大学特別教授)
岩井克人(東京大学名誉教授)
ジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者)
ピーター・ダイアモンド(ノーベル経済学賞受賞者)
ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞者)

第4章 構造改革推進派
竹中平蔵(元経済財政政策担当大臣・慶應義塾大学名誉教授)
伊藤元重(東京大学名誉教授)
八田達夫(元政策研究大学院大学学長)
星岳雄(元スタンフォード大学教授・東京大学大学院教授)
グレン・ハバード(コロンビア大学ビジネススクール学院長)
アニル・カシャップ(シカゴ大学教授)

第5章 政策アドバイザー
ウィリアム・ノードハウス(ノーベル経済学賞受賞者)
アダム・ポーゼン(元イングランド銀行政策委員・ピーターソン国際経済研究所所長)
フランシス・バトール(ハーバード大学名誉教授)
ロバート・ローレンス(元アメリカ大統領経済諮問委員会委員)
マーティン・フェルドシュタイン(元アメリカ大統領経済諮問委員会委員長)

第6章 金融学者
三木谷良一(神戸大学名誉教授)
池尾和人(慶應義塾大学名誉教授)
本多佑三(大阪大学名誉教授)
清水啓典(一橋大学名誉教授)
福田慎一(東京大学教授)
宮尾尊弘(筑波大学名誉教授)

第7章 中央銀行エコノミスト
鈴木淑夫(元日本銀行金融研究所所長)
深尾光洋(慶應義塾大学名誉教授)
翁邦雄(元日本銀行金融研究所所長)
ドナルド・コーン(元アメリカ連邦準備制度理事会副議長)
ラース・スベンソン(元スウェーデン国立銀行副総裁)
エドウィン・トルーマン(元アメリカ財務次官補)

第8章 マクロ経済学者・財政学者
塩路悦朗(一橋大学教授)
岩本康志(東京大学大学院教授)
デール・ジョルゲンソン(ハーバード大学名誉教授)
ケネス・ロゴフ(元IMFチーフエコノミスト・ハーバード大学教授)
ベンジャミン・フリードマン(ハーバード大学教授)
レイ・フェア(イェール大学教授)
マイケル・ウッドフォード(コロンビア大学教授)
ウィリアム・ブレイナード(イェール大学名誉教授)

第9章 世界の政策担当者・財務官
伊藤隆敏(コロンビア大学教授)
堺屋太一(元経済企画庁長官)
岩田一政(元日本銀行副総裁)
榊原英資(元財務省財務官)
玉木林太郎(元OECD事務次長)
河合正弘(元アジア開発銀行研究所所長)
ローレンス・サマーズ(元アメリカ財務長官・ハーバード大学教授)
ジョン・テイラー(元アメリカ財務次官・スタンフォード大学教授)

第10章 国際金融専門家
リチャード・クーパー(ハーバード大学教授)
バリー・アイケングリーン(カリフォルニア大学バークレー校教授)
デール・ヘンダーソン(元ジョージタウン大学教授)
リチャード・ポルテス(ロンドン・ビジネススクール教授)
ジェフリー・サックス(コロンビア大学教授)
ロナルド・マッキノン(スタンフォード大学名誉教授)
ジェフリー・フランケル(ハーバード大学教授)

第11章 日本経済・日本政治専門家
ジェニファー・コルベット(オーストラリア国立大学名誉教授・元日豪研究交流基金フェロー)
ヒュー・パトリック(コロンビア大学名誉教授・元日本経済経営研究所所長)
デービッド・ワインシュタイン(コロンビア大学教授・日本経済経営研究所所長)
グスタフ・ラニス(イェール大学名誉教授)
スーザン・ファー(元ハーバード大学ライシャワー日本研究所所長)
ランダル・へニング(アメリカン大学教授)

第12章 政治学者・社会学者・「法と経済」学者
斉藤淳(元衆議院議員・英語教育者)
三輪芳朗(東京大学名誉教授)
白波瀬佐和子(東京大学教授)
盛山和夫(東京大学名誉教授)
ジェフリー・フリーデン(ハーバード大学教授)
フランシス・ローゼンブルース(イェール大学教授)
マーク・ラムザイヤー(ハーバード大学教授)
ピーター・ホール(ハーバード大学教授)

第13章 新聞記者・評論家・市場関係者
嶋中雄二(三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所所長)
田村秀男(産経新聞編集委員兼論説委員)
山崎元(マイベンチマーク代表)
ヌリエル・ルービニ(ビル・クリントン政権上級経済アドバイザー・ニューヨーク大学教授)
ジョージ・ソロス(ソロス・ファンド・マネジメント会長)

第14章 マクロ経済学の将来を見据える人たち
ロバート・シラー(ノーベル経済学賞受賞者)
クリストファー・シムズ(ノーベル経済学賞受賞者)
ウィレム・ブイター(元シティグループ・グローバルチーフエコノミスト)
アンソニー・アトキンソン(元オックスフォード大学ナッフィールド・カレッジ学長)

あとがき──コロナ後の経済政策はいかにあるべきか

マンデルにはインタビュー出来なかったそうだ。
斉藤誠、吉川洋には断られた。
あとがきに実際に会ったケルトン、MMTについて記述がある。
ケルトンを入れれば90人の識者との対話になる。
金融理論かぶれのリフレ派の改心の過程とも読める。

ブイター、田村、シムズあたりが興味深い。

『21世紀の経済政策』浜田宏一 
講談社 2021/06/28 

612〜4頁

あとがき一コロナ後の経済政策はいかにあるべきか


…平常時でもそうなのだから、コロナ禍のような非常時に政府が緊急避難として赤字財政で対応することは、むしろ当たり前で望ましいことですらある。


 ちなみにMMTについては必ずしも正確に理解されているように思わないので、私の理解を述べておく。


()通貨発行国の政府は破産しない。したがって日本も然りである。政府支出が行きすぎると、インフレ、自国通貨安、経常収支赤字が起こるだけである。


()政府も民間主体と同様に財政均衡を保つのが正常だ、という考えは、日本の置かれているデフレ的条件下では、現在の国民だけでなく将来の国民に害を与える公算が大きい。MMTの主唱者であるステファニー・ケルトン氏に教えられたが、均衡財政の制約だけでなく、社会保障費は消費税で賄うというような人為的条件(社会保障と税の一体改革のいわゆる三党合意)も増税の口実に過ぎず、国民経済の福祉とはまったく独立の人為的な制約で、 有害なものである。


()MMTは金融政策を一定金利で貨幣発行すると想定して、中央銀行の役割を無視し、発展する金融論の成果も無視して、すべて会計式に帰着する。その意味でMMTはたしかに荒削りな議論ではある。しかし、その社会的役割を考えると、日本のように財政バランス墨守という財務省的見解が旧来からマスコミに刷り込まれている社会には、解毒剤として望ましいものと思う。まさに、政策観が変わらなかった世界に経済学が斬新な装いを持っていたため(内容的には同様な学説があったにもかかわらず)、不況下の世界経済に革命的影響を与えたのと同様である。


()インフレや国際収支の心配がある国はMMTを適用できないが、MMTの副作用を知りつつ使えば、いい薬になる。そのことを山口県を選挙地盤とする安倍首相(当時)に申し上げたところ、「フグを賞味するには、ちゃんとした料理人がいないといけないということだね」というお返事だった。



『21世紀の経済政策』浜田宏一 

講談社 2021/06/28 


目 次 

まえがき──「日銀理論」に洗脳されていたマスコミ 本書の成り立ち 


第1章 アベノミクスの実践者 

安倍晋三(第九〇・九六~九八代内閣総理大臣) 

岩田規久男(元日本銀行副総裁) 

山本幸三(元内閣府特命担当大臣) 

中原伸之(元日本銀行政策委員会審議委員) 

本田悦朗(元スイス駐箚特命全権大使兼欧州金融経済担当大使) 

髙橋洋一(内閣官房参与) 

中川秀直(元自由民主党幹事長) 


第2章 リフレ派 

原田泰(元日本銀行政策委員会審議委員) 

竹森俊平(慶應義塾大学経済学部教授) 

野口旭(専修大学経済学部教授) 

飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授) 

小沢鋭仁(元環境大臣) 

馬淵澄夫(元国土交通大臣) 


第3章 ノーベル賞受賞者と世界的スケールの経済学者 

青木昌彦(スタンフォード大学名誉教授) 

清滝信宏(プリンストン大学教授) 

林文夫(元コロンビア大学教授・政策研究大学院大学特別教授) 

岩井克人(東京大学名誉教授) 

ジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者) 

ピーター・ダイアモンド(ノーベル経済学賞受賞者) 

ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞者) 


第4章 構造改革推進派 

竹中平蔵(元経済財政政策担当大臣・慶應義塾大学名誉教授) 

伊藤元重(東京大学名誉教授) 

八田達夫(元政策研究大学院大学学長) 

星岳雄(元スタンフォード大学教授・東京大学大学院教授) 

グレン・ハバード(コロンビア大学ビジネススクール学院長) 

アニル・カシャップ(シカゴ大学教授) 


第5章 政策アドバイザー 

ウィリアム・ノードハウス(ノーベル経済学賞受賞者) 

アダム・ポーゼン(元イングランド銀行政策委員・ピーターソン国際経済研究所所長) 

フランシス・バトール(ハーバード大学名誉教授) 

ロバート・ローレンス(元アメリカ大統領経済諮問委員会委員) 

マーティン・フェルドシュタイン(元アメリカ大統領経済諮問委員会委員長) 


第6章 金融学者 

三木谷良一(神戸大学名誉教授) 

池尾和人(慶應義塾大学名誉教授) 

本多佑三(大阪大学名誉教授) 

清水啓典(一橋大学名誉教授) 

福田慎一(東京大学教授) 

宮尾尊弘(筑波大学名誉教授) 


第7章 中央銀行エコノミスト 

鈴木淑夫(元日本銀行金融研究所所長) 

深尾光洋(慶應義塾大学名誉教授) 

翁邦雄(元日本銀行金融研究所所長) 

ドナルド・コーン(元アメリカ連邦準備制度理事会副議長) 

ラース・スベンソン(元スウェーデン国立銀行副総裁) 

エドウィン・トルーマン(元アメリカ財務次官補) 


第8章 マクロ経済学者・財政学者 

塩路悦朗(一橋大学教授) 

岩本康志(東京大学大学院教授) 

デール・ジョルゲンソン(ハーバード大学名誉教授) 

ケネス・ロゴフ(元IMFチーフエコノミスト・ハーバード大学教授) 

ベンジャミン・フリードマン(ハーバード大学教授) 

レイ・フェア(イェール大学教授) 

マイケル・ウッドフォード(コロンビア大学教授) 

ウィリアム・ブレイナード(イェール大学名誉教授) 


第9章 世界の政策担当者・財務官 

伊藤隆敏(コロンビア大学教授) 

堺屋太一(元経済企画庁長官) 

岩田一政(元日本銀行副総裁) 

榊原英資(元財務省財務官) 

玉木林太郎(元OECD事務次長) 

河合正弘(元アジア開発銀行研究所所長) 

ローレンス・サマーズ(元アメリカ財務長官・ハーバード大学教授) 

ジョン・テイラー(元アメリカ財務次官・スタンフォード大学教授) 


第10章 国際金融専門家 

リチャード・クーパー(ハーバード大学教授) 

バリー・アイケングリーン(カリフォルニア大学バークレー校教授) 

デール・ヘンダーソン(元ジョージタウン大学教授) 

リチャード・ポルテス(ロンドン・ビジネススクール教授) 

ジェフリー・サックス(コロンビア大学教授) 

ロナルド・マッキノン(スタンフォード大学名誉教授) 

ジェフリー・フランケル(ハーバード大学教授) 


第11章 日本経済・日本政治専門家 

ジェニファー・コルベット(オーストラリア国立大学名誉教授・元日豪研究交流基金フェロー) 

ヒュー・パトリック(コロンビア大学名誉教授・元日本経済経営研究所所長) 

デービッド・ワインシュタイン(コロンビア大学教授・日本経済経営研究所所長) 

グスタフ・ラニス(イェール大学名誉教授) 

スーザン・ファー(元ハーバード大学ライシャワー日本研究所所長) 

ランダル・へニング(アメリカン大学教授) 


第12章 政治学者・社会学者・「法と経済」学者 

斉藤淳(元衆議院議員・英語教育者) 

三輪芳朗(東京大学名誉教授) 

白波瀬佐和子(東京大学教授) 

盛山和夫(東京大学名誉教授) 

ジェフリー・フリーデン(ハーバード大学教授) 

フランシス・ローゼンブルース(イェール大学教授) 

マーク・ラムザイヤー(ハーバード大学教授) 

ピーター・ホール(ハーバード大学教授) 


第13章 新聞記者・評論家・市場関係者 

嶋中雄二(三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所所長) 

田村秀男(産経新聞編集委員兼論説委員) 

山崎元(マイベンチマーク代表) 

ヌリエル・ルービニ(ビル・クリントン政権上級経済アドバイザー・ニューヨーク大学教授) 

ジョージ・ソロス(ソロス・ファンド・マネジメント会長) 


第14章 マクロ経済学の将来を見据える人たち 

ロバート・シラー(ノーベル経済学賞受賞者) 

クリストファー・シムズ(ノーベル経済学賞受賞者) 

ウィレム・ブイター(元シティグループ・グローバルチーフエコノミスト) 

アンソニー・アトキンソン(元オックスフォード大学ナッフィールド・カレッジ学長) 


あとがき──コロナ後の経済政策はいかにあるべきか 


マンデルにはインタビュー出来なかったそうだ。

あとがきに実際に会ったケルトン、MMTについて記述がある。 

ケルトンを入れれば90人の識者との対話になる。

金融理論かぶれのリフレ派の改心の過程とも読める。 

安倍のコメントはマリーアントワネットのようである。



612〜4頁

あとがき一コロナ後の経済政策はいかにあるべきか


…平常時でもそうなのだから、コロナ禍のような非常時に政府が緊急避難として赤字財政で対応する

ことは、むしろ当たり前で望ましいことですらある。


 ちなみにMMTについては必ずしも正確に理解されているように思わないので、私の理解を述べておく。


(一)通貨発行国の政府は破産しない。したがって日本も然りである。政府支出が行きすぎると、インフレ、

自国通貨安、経常収支赤字が起こるだけである。


(二)政府も民間主体と同様に財政均衡を保つのが正常だ、という考えは、日本の置かれているデフレ的

条件下では、現在の国民だけでなく将来の国民に害を与える公算が大きい。MMTの主唱者である

ステファニー・ケルトン氏に教えられたが、均衡財政の制約だけでなく、社会保障費は消費税で賄う

というような人為的条件(社会保障と税の一体改革のいわゆる三党合意)も増税の口実に過ぎず、国民

経済の福祉とはまったく独立の人為的な制約で、 有害なものである。


(三)MMTは金融政策を一定金利で貨幣発行すると想定して、中央銀行の役割を無視し、発展する

金融論の成果も無視して、すべて会計式に帰着する。その意味でMMTはたしかに荒削りな議論では

ある。しかし、その社会的役割を考えると、日本のように財政バランス墨守という財務省的見解が

旧来からマスコミに刷り込まれている社会には、解毒剤として望ましいものと思う。まさに、政策

観が変わらなかった世界に経済学が斬新な装いを持っていたため(内容的には同様な学説があったに 

もかかわらず)、不況下の世界経済に革命的影響を与えたのと同様である。


(四)インフレや国際収支の心配がある国はMMTを適用できないが、MMTの副作用を知りつつ使えば、

いい薬になる。そのことを山口県を選挙地盤とする安倍首相(当時)に申し上げたところ、「フグを賞味

するには、ちゃんとした料理人がいないといけないということだね」というお返事だった。




21世紀の経済政策』浜田宏一 

講談社 2021/06/28 


目 次 

まえがき──「日銀理論」に洗脳されていたマスコミ 本書の成り立ち 


第1章 アベノミクスの実践者 

安倍晋三(第九〇・九六~九八代内閣総理大臣) 

岩田規久男(元日本銀行副総裁)

髙橋洋一(内閣官房参与)


第2章 リフレ派 

竹森俊平(慶應義塾大学経済学部教授) 

野口旭(専修大学経済学部教授) 

飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授) 

馬淵澄夫(元国土交通大臣) 


第3章 ノーベル賞受賞者と世界的スケールの経済学者 

青木昌彦(スタンフォード大学名誉教授) 

清滝信宏(プリンストン大学教授) 

林文夫(元コロンビア大学教授・政策研究大学院大学特別教授) 

岩井克人(東京大学名誉教授) 

ジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者) 

ピーター・ダイアモンド(ノーベル経済学賞受賞者) 

ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞者) 


第4章 構造改革推進派 

竹中平蔵(元経済財政政策担当大臣・慶應義塾大学名誉教授) 

伊藤元重(東京大学名誉教授) 

八田達夫(元政策研究大学院大学学長)


第5章 政策アドバイザー 

ウィリアム・ノードハウス(ノーベル経済学賞受賞者)


第6章 金融学者

福田慎一(東京大学教授)


第7章 中央銀行エコノミスト 

翁邦雄(元日本銀行金融研究所所長) 

ラース・スベンソン(元スウェーデン国立銀行副総裁) 


第8章 マクロ経済学者・財政学者 

ケネス・ロゴフ(元IMFチーフエコノミスト・ハーバード大学教授)

マイケル・ウッドフォード(コロンビア大学教授) 


第9章 世界の政策担当者・財務官 

伊藤隆敏(コロンビア大学教授) 

堺屋太一(元経済企画庁長官) 

岩田一政(元日本銀行副総裁) 

榊原英資(元財務省財務官)

ローレンス・サマーズ(元アメリカ財務長官・ハーバード大学教授) 

ジョン・テイラー(元アメリカ財務次官・スタンフォード大学教授) 


10章 国際金融専門家 

リチャード・クーパー(ハーバード大学教授)


11章 日本経済・日本政治専門家 

ジェニファー・コルベット(オーストラリア国立大学名誉教授・元日豪研究交流基金フェロー)

… 


12章 政治学者・社会学者・「法と経済」学者

マーク・ラムザイヤー(ハーバード大学教授) 

ピーター・ホール(ハーバード大学教授) 


13章 新聞記者・評論家・市場関係者

田村秀男(産経新聞編集委員兼論説委員)

ジョージ・ソロス(ソロス・ファンド・マネジメント会長) 


14章 マクロ経済学の将来を見据える人たち 

ロバート・シラー(ノーベル経済学賞受賞者) 

クリストファー・シムズ(ノーベル経済学賞受賞者) 

ウィレム・ブイター(元シティグループ・グローバルチーフエコノミスト) 

アンソニー・アトキンソン(元オックスフォード大学ナッフィールド・カレッジ学長) 


あとがき──コロナ後の経済政策はいかにあるべきか 


浜田宏一は、マンデルにはインタビュー出来なかったそうだ。

あとがきに実際に会ったケルトン、MMTについて記述がある。 

ケルトンを入れれば90人の識者との対話になる。

金融理論かぶれのリフレ派の改心の過程とも読める。 

安倍のコメントはマリー・アントワネットのようである。



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《あとがき一コロナ後の経済政策はいかにあるべきか


平常時でもそうなのだから、コロナ禍のような非常時に政府が緊急避難として赤字財政で対応する

ことは、むしろ当たり前で望ましいことですらある。


 ちなみにMMTについては必ずしも正確に理解されているように思わないので、私の理解を述べておく。


()通貨発行国の政府は破産しない。したがって日本も然りである。政府支出が行きすぎると、インフレ、

自国通貨安、経常収支赤字が起こるだけである。


()政府も民間主体と同様に財政均衡を保つのが正常だ、という考えは、日本の置かれているデフレ的

条件下では、現在の国民だけでなく将来の国民に害を与える公算が大きい。MMTの主唱者である

ステファニー・ケルトン氏に教えられたが、均衡財政の制約だけでなく、社会保障費は消費税で賄う

というような人為的条件(社会保障と税の一体改革のいわゆる三党合意)も増税の口実に過ぎず、国民

経済の福祉とはまったく独立の人為的な制約で、 有害なものである。


()MMTは金融政策を一定金利で貨幣発行すると想定して、中央銀行の役割を無視し、発展する

金融論の成果も無視して、すべて会計式に帰着する。その意味でMMTはたしかに荒削りな議論では

ある。しかし、その社会的役割を考えると、日本のように財政バランス墨守という財務省的見解が

旧来からマスコミに刷り込まれている社会には、解毒剤として望ましいものと思う。まさに、政策

観が変わらなかった世界に経済学が斬新な装いを持っていたため(内容的には同様な学説があったに 

もかかわらず)、不況下の世界経済に革命的影響を与えたのと同様である。


()インフレや国際収支の心配がある国はMMTを適用できないが、MMTの副作用を知りつつ使えば、

いい薬になる。そのことを山口県を選挙地盤とする安倍首相(当時)に申し上げたところ、「フグを賞味

するには、ちゃんとした料理人がいないといけないということだね」というお返事だった。》


986 a[sage] 2021/06/30(水) 14:28:41.68  ID:slDUsQby 

ケルトン、浜田宏一 2019

https://twitter.com/ttakinami/status/1151476669883883520?s=21

https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjEajyRG-jr3arDGZnwop9TZa6dBMr4dINFLlmKhIMUzVgfVBsIc2F-MEuA7dlLT3BGP-0o7disAR97AOnyrLRqEfwqdoo2P_8K5xiaW_rHLAVaWu3n3i4FLmT3SmElXrOll6O2zf1akPB9/s477/99B3C44F-6854-4E04-9D5C-67DB16FD90C5.jpeg


https://www-sankeibiz-jp.cdn.ampproject.org/ii/w820/s/www.sankeibiz.jp/images/news/191011/mcb1910110705002-p1.jpg





RIETI - 財政出動、経常収支に目配り コロナ後のあるべき政策

RIETI - 財政出動、経常収支に目配り コロナ後のあるべき政策

RIETI - 財政出動、経常収支に目配り コロナ後のあるべき政策

◆◆◆

現状では財政と金融は一体として効果を考えるべきだ。ゼロ金利近辺では流動性のわなが発生し、景気刺激には金融より財政政策が有効になるのは経済学の常識だ。それでもゼロ金利政策には金利負担を低く保つことで財政コストの膨張を抑える重要な役割がある。

金融と財政の一体化の傾向を示す証左をさらに2つ挙げる。第1に日本では戦争直後の一万田尚登・日銀総裁以来例がないが、今日の主要国では財政と金融のリーダー間のシフトが頻繁だ。米連邦準備理事会(FRB)議長から米財務長官になったイエレン氏、欧州中央銀行(ECB)総裁からイタリア首相になったドラギ氏、仏財務相からECB総裁になったラガルド氏がこの動きを代表する。今や政策遂行能力を高めるキャリアパスと評価される。

第2に米バイデン政権による1.9兆ドル(約200兆円)規模の経済対策の是非を巡る論争の焦点は「インフレの発生」だ。金融政策ではなく、財政政策がインフレを発生させるかが議論の焦点なのだ。積極財政に呼応し中央銀行がゼロ金利政策をとるのは、中銀が発行するマネーで積極財政を賄うヘリコプターマネー的政策だと認識されながらも、現状では必要と一般的に認められている。

財政・金融の強力なポリシーミックスを受け主要国の株式相場は好調だが、インフレ率の上昇は抑えられた。なぜか。サマーズ氏らの論文はその謎に踏み込む。

認識の出発点には米国での労働組合の交渉力低下がある。かつては好況期に失業率が低下すると組合の交渉上の立場が有利になり、大幅な賃上げが勝ち取られた。それがコストプッシュ要因となり、失業率低下が物価上昇を招くフィリップス曲線の関係が明確にみられた。だが昨今は組合の交渉力が低下し、失業率が下がる好況期にも賃上げが起きず、インフレ率が低くとどまるようになった。

他方、賃上げ抑制により生産所得のより多くの割合が資本に分配されるので、好況予想が株価上昇に直結するようになった。高株価と低インフレの共存をサマーズ氏らはこう説明する。

インフレ率と失業率の関係を示す日本のフィリップス曲線も00年代に傾きが緩やかになっており、失業率低下はインフレ圧力を招かなくなった(図参照)。

図:フィリップ曲線

サマーズ氏らのモデルには、米国での投資低迷を説明できない問題がある。トマ・フィリポン米ニューヨーク大教授らの研究が、その解決になるかもしれない。米国の産業独占度は近年上昇しているが、それで資本収益が拡大し、株価上昇がさらに進む一方、価格つり上げのために企業は生産を絞るので、投資も抑制されると研究は指摘する。

コロナ危機の大不況下で財政・金融のポリシーミックスの必要性はさらに高まる。米政府は巨額の財政発動に踏み出し、FRBも低金利の継続を示唆する。

サマーズ氏はこれに批判的だ。未曽有の不況に直面して経済対策が不可欠なのは認めるが、問題はその規模だ。200兆円という規模は現在の米国の国内総生産(GDP)ギャップからみて過大で、インフレを招きかねない。しかも4人家族に約60万円をほぼ無条件で給付する措置は経済的根拠に乏しい。それよりは経済成長率の改善につながるインフラ投資に予算を振り向けるべきだと彼は言う。

肯定派のポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授も「インフラ投資こそ必要」との点では同意しながら、社会隔離が続く中では給付が消費を刺激する効果は少ないためインフレは起きにくく、対策は基本的に所得補償の性格のものだと指摘する。無条件の給付は経済的根拠に乏しくても、労働所得の低迷を背景にした社会の混乱(つまりトランプ政治)を考えれば、政治的に有意義だという。

◆◆◆

両者の議論からも分かるように、総需要政策には経済の潜在供給力を上回らないよう注意を要するという「制約条件」がある。供給力を上回る総需要は高インフレを引き起こす可能性があり、その場合には拡張的な政策を止めるべきだというのがマクロ経済学者の合意である。だが供給力を上回る総需要の超過分はインフレを起こさないまま、輸入の拡大により補われるかもしれない。そうなった場合には経常収支が悪化する。

結局、何が総需要政策を実施するうえでの制約条件になるかは、日本と米国で異なる。米国の場合、制約条件となるのはインフレだけだ。たとえ供給力を上回る総需要が生まれ、それが輸入拡大を通じ経常収支赤字(対外借り入れ)を増やしても、米国の債務、つまりドルは国際取引の決済手段でもあるので当面支障は生じない。ドルの信頼が低下すれば対外債務を増やし続けることは困難になるが、米インフレ率はドルへの信頼の指標でもあるので、究極的にはインフレの制約だけを考えればよい。

他方、円にはドルのような国際取引の決済力はないので、日本の経済政策の運営ではインフレ率に加え、対外純債務を増やさないよう注意が必要だ。経常収支赤字は、財政赤字よりも重要な経済政策運営への警告となる。総需要(GDP)の拡大を目指すにしても、供給力は超えられないのだ。

ならば経済政策の立案では、限られた供給力の有効利用を目指すべきだ。総需要の拡大が必要な場合も将来の生産力の拡大につながる政策、つまり人的資源や研究開発(R&D)、IT(情報技術)ネットワークへの投資などを優先すべきだ。

もう一つ重要なことがある。コロナ危機で打撃を受けた企業も、今は多くが潤沢な公的支援により存続できている。収束後には一部は自立できるだろうが、依然公的支援を必要とする実質的に破綻している企業、つまりゾンビ企業もある。一国の生産資源が、価値を生み出せないゾンビに張り付けば、供給力は低下する。ゾンビの整理が必要だ。

米航空会社の多くは存続のため公的支援を必要とするが、政府は支援と引き換えに航空産業の独占度を下げる改革をすべきだという声が米国では強い。日本でもコロナ後には、ゾンビの秩序だった整理による経済活力の回復が不可欠だ。



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ハイパーインフレ シェイブテイルさんのツイート

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ぽてと🐾@政治は未来への投資さんのツイート

2021年6月27日日曜日

2021/06/16ミッチェルAnnouncing the Instituto de Finanças Funcionais para o Desenvolvimento – Bill Mitchell – Modern Monetary Theory

Announcing the Instituto de Finanças Funcionais para o Desenvolvimento – Bill Mitchell – Modern Monetary Theory

Announcing the Instituto de Finanças Funcionais para o Desenvolvimento

Today is Wednesday and I have to travel most of the day and present to a large financial markets gathering in Sydney tonight. My theme tonight will be 'What the Hell is Going On', as a challenge to the mainstream who haven't a clue about what is happening and summarise their lack of awareness and the dissonance that is creating for them by screaming about inflation. The mainstream macroeconomists are so far off the mark these days that they must be like the flat earth theorists who watched ships successfully sail off the edge of the globe only to come back around the other side. They are lost and can only interpret the current events in terms of 'duh, central banks buying bonds, too much money in the system, duh, must be inflationary'. Anyway, today some jazz and a video to watch.

Creation of a new Institute in Brazil

Last week, Randy Wray and I joined some scholars from Brazil, who have established the – Instituto de Finanças Funcionais para o Desenvolvimento – or Institute of Functional Finance for Development or IFFD for short.

This was their inaugural event and both Randy and I were really pleased to be invited as speakers at their launch.

This is a great initiative and I hope they can create change in the economics debate in Brazil, which is obsessed with issues pertaining to currency instability and debt.

That obsession has constrained public policy and prevented millions from escaping the interminable poverty that the application of mainstream economics creates.

Here is their – Manifesto (in Portuguese).


https://iffdbrasil.org/wp-content/uploads/2021/06/Manifesto_de_Fundacao_do_IFFD.pdf


https://youtu.be/R3llTgYlk_o


This video documents their launch. Most of it is in Portuguese but from 10:53 to 27:00 you can see some of the contribution Randy and I provided to the discussion in English.

Anyway, to Simone and Daniel and Co, good luck with your venture.


https://youtu.be/R3llTgYlk_o


Music – One can never have enough Jazz – Part 2

This is what I have been listening to while working this morning.

On Monday, I presented the jazz interpretation of Erik Satie's Gnossienne pieces by French pianist Jacques Loussier with his Trio.

Please read my blog post – Progressive political leadership is absent but required (October 24, 2018) – for more detail on Erik Satie.

Today, to complete the picture, here is the – Jacques Loussier Trio – playing Erik Satie's Gymnopédie No. 1, which is the first of his suite of three exercises or – Trois Gymnopédies – for piano, which were written between 1888 and 1895.

They are in 3/4 time and the first one was indicated by Erik Satie to be played in a 'Lent et douloureux' fashion. Very slow and very gravely.

Here is the jazz version of the first of the three pieces.

It is off an album – Jacques Loussier Trio Satie, which was released in 1998 (Telarc Jazz).

As an additional link – here is the version by – Blood, Sweat and Tears – from their – Variations on a Theme by Erik Satie (1st and 2nd Movements) – which appeared on their second album from 1968.

Quite a contrast to the rest of that album.

That is enough for today!

(c) Copyright 2021 William Mitchell. All Rights Reserved.



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いま学ぶ!渋沢資本主義:預金を通貨にした銀行システム=靎見誠良/3 | 週刊エコノミスト Online

いま学ぶ!渋沢資本主義:預金を通貨にした銀行システム=靎見誠良/3 | 週刊エコノミスト Online

預金を通貨にした銀行システム=靎見誠良/3

大阪手形交換所の様子(1936年)

 今や我々が現金(キャッシュ)を使う機会は減り続けている。給料は銀行の預金口座に振り込まれる。物を買ってクレジットカードやスマートフォンを使って払えば、預金口座から引き落とされる。電気やガスの代金も口座振替で自動的に引き落とされる。企業間の商取引でも現金は全く現れない。

 こうしたキャッシュレスの背後に、預金口座に基づく銀行の決済メカニズムが働いている(図)。買い手と売り手が同じ銀行に預金口座を持っていれば、銀行内の振り替えで済む。取引銀行が違う場合は、銀行間で互いの債権債務を計算し相殺し合う。それを行うのは銀行の共同組織、手形交換所であり、全銀システム(全国銀行データ通信システム)である。相殺した差額は、日本銀行に置かれた各行の預金口座振替で決済される。

 このような決済機構が日本に現れたのは明治のことで、渋沢はその構築に大きな役割を果たした。

銀行が連携組織

 渋沢は明治初め、大蔵省(現財務省)で国立銀行制度の構築に尽力し、下野したあとは自ら第一国立銀行を率い、西欧流の銀行制度の導入に力を注いだ。当時求められていたのは、金属貨幣を用いた決済から脱却することであった。

 第一の課題は現金を金銀銅貨から紙幣化することであり、1885(明治18)年の日本銀行券の登場によって定着した。

 第二の課題は、商取引の支払いを現金での払いか延べ払い(後払い)から、手形や小切手(囲み)など紙券へ切り替えることであった。後払いの期限と支払人を明記した手形によって、取引を巡る債権債務の権利関係が明確となり、手形=権利の譲渡が可能となる。これによって銀行による手形割引の途(みち)が開ける。商人は売掛債権を流動化でき、運転資金調達の重荷から解放される。

 預金を集めて手形を割り引き、貸すという西欧流の銀行を構築するには、商取引の土壌そのものを整えねばならず、渋沢にとって手探りの積み重ねであった。

 江戸時代、日本の金融は大阪の両替商を軸に相当の発展を遂げていたが、西欧の金融概念からすると、いくつか問題があった。そもそも江戸・大阪・京都の3都の両替商仲間による狭い閉鎖的なシステムであった。両替商が扱う「手形」は、今の銀行券、手形、小切手に当たるものが未分化の状態にあり手形割引の慣行はなかった。

 渋沢はまず、銀行券や手形、小切手の概念を紹介、啓蒙(けいもう)し、書式を西欧風に整えたうえで、手形や小切手の流通の振興を図った。

 1876(明治9)年の国立銀行条例改正を機に銀行設立ブームが生じ、瞬く間に銀行券を発行できる国立銀行153行、それに無数の私立銀行が各地に設立された。渋沢は第一国立銀行の経営を通してこの革新を先導し、東京・大阪の大銀行が続いた。

 その後の金融当局による手形取引の勧奨もあって、伝統的な延べ払いも徐々に西洋風の手形形式に切り替えられ、また現金に代わって小切手の利用も浸透していった。その流れは明治期に地方の中小銀行にも浸透し、次第に渋沢が目指した預金銀行モデルへ近づいていった。

 1877(明治10)年の西南戦争後、国内で多数の銀行が活動するのに伴い、渋沢は銀行間を結ぶ組織について新しい試みを始めた。

 まず、銀行仲間に呼びかけて大阪に銀行苦楽部(くらぶ)、東京で択善会(たくぜんかい)を組織し、銀行同士による啓蒙活動ならびに協同活動の場を開いた。

 銀行の数が増えてくると、手形や小切手を銀行間でどのように決済するか、新たな課題が生じる。銀行間の現金支払いを避けるためには銀行間を結ぶ連携組織が必要であった。そのために渋沢は早くから手形交換所の必要性を説いた。

2都集中の夢かなわず

 渋沢の構想は、全国の手形・小切手を東西2都の交換所で決済するという壮大なものであった。渋沢の構想は東西の銀行集会所で議論されたが、その道筋は東西でやや異なった。

 手形交換所が最初に組織されたのは大阪だった。1879(明治12)年、日銀が設立される3年前であった。東京は8年遅れて1887(明治20)年であった。そのためもあって両者には決済方法に違いがみられる。

 東京の手形交換所では交換尻(相殺差額)の決済は、現在のように日銀に置かれた各行の預金口座の振り替えで行われた。これに対し、大阪は日銀を介さず小切手で行われた。大阪の交換所が日銀口座決済を行うようになったのは、1901(明治34)年の金融恐慌後のことである。

 渋沢が掲げた構想のように、全国の手形・小切手を東西2都の交換所で決済するためには、地方宛ての手形・小切手をどちらかに持ち込んで集中決済する必要がある。その試みは何度か議論されたが日の目を見ることはなかった。

 戦前の日本は、全国各都市に手形交換所が置かれ、同一都市宛ての手形・小切手は現金を見ることなく決済されたが、都市を超えた隔地間で現金支払いを避けるためには、相殺相手を一つ一つ探す煩雑な内国為替によらざるを得なかった。渋沢が願った全国集中決済は、戦時下の1943(昭和18)年、日銀が全国の銀行間の債権債務をまとめて相殺する内国為替集中決済制度の導入まで待たなくてはならなかった。集中決済の導入に至ったのは、大銀行にとって各行間で分散的に行う為替業務の採算性が下がったためである。民間銀行が集中決済を構想し、日銀に担うよう求めた。

 日銀は戦後、集中決済制度の運営主体を民間に譲り、現在の全銀システムに至っている。

 渋沢が築き上げた預金銀行システムによって、日本経済は現金の制約を離れ、産業化の歩みを始めることができた。第一にそれまで分散していた資金を「合本(がっぽん)」することで、新産業へ規模の大きい金融の途を開いた。第二に預金取引を導入することで現金の制約を超えた貸し出し(信用創造)が可能となり、経済成長に弾みがついた。

 明治維新から約150年、近年の電子化によって預金銀行の座は揺らぎつつある。ブロックチェーンの分散技術は日銀を頂点とする管理システムを揺るがす。渋沢が両替商から預金銀行へシステムの大転換にチャレンジしたように、我々は金融のリストラクチャリング(再構築)に直面している。

(靎見誠良・法政大学名誉教授)


手形と小切手

 いずれも額面の金額の支払いが受けられることを示す有価証券。金銭と同じ価値がある。手形(約束手形)は支払期日がある。取引の支払いを手形で行った場合、支払期限が来ると、買い手=債務者は取引銀行に預けておいた当座預金を引き当てに小切手を振り出す。小切手を持ち込まれた銀行は預金者に代わって払う。売り手=債権者が支払期限前の手形を銀行に持ち込むと、銀行は手形割引、つまり期限までの利息を額面から割り引いた金額で現金化する。



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