2023年2月13日月曜日

ダイキンは生産能力4倍に、欧州で品切れになるほど爆売れする日本企業の「暖房」(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

ダイキンは生産能力4倍に、欧州で品切れになるほど爆売れする日本企業の「暖房」(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

ダイキンは生産能力4倍に、欧州で品切れになるほど爆売れする日本企業の「暖房」

 ヨーロッパの家庭で今、空前のヒットとなっている日本企業の製品がある。ヒートポンプ式の暖房設備だ。 【写真】これがダイキンのヒートポンプ式暖房だ  シェア約20%と首位のダイキン工業を筆頭に、パナソニックや三菱電機、富士通ゼネラルなどが製品を展開しており、「2021年度は販売台数が前年度比で7割弱伸びた」(ダイキン)。生産が追いつかず、各社がバックオーダーを抱えるほどの盛況ぶりだ。  ヒートポンプとは、空気中にある熱を集めて圧縮機にかけ、冷媒を電気で圧縮することで室内に運ぶ技術のこと。日本では給湯器の「エコキュート」に使われる技術として知られる。

 ヨーロッパでは建物全体を一元的に制御するセントラル空調が基本。現在は、ボイラーでガスや石油などの化石燃料を燃やして水を温め、各部屋に設置したラジエーターや床暖房などに温水を循環させる「燃焼暖房」が普及している。 ■ヒートポンプを採用する動きが加速  それがここ数年、新築戸建て住宅を中心にヒートポンプを採用する動きが加速している。  ドイツ在住のジャーナリスト、高松平藏氏は「ドイツでは20年ほど前から断熱性能などに優れた『パッシブハウス』と呼ばれる省エネ住宅が普及しており、その暖房設備としてヒートポンプ式を入れるケースが多い」と語る。

 最大の特徴は、CO2(二酸化炭素)の排出量削減につながる高い省エネ性能にある。空気中にある熱を活用するため、1の電気量に対して3~4倍の暖房効果を得ることができる。  IEA(国際エネルギー機関)によれば、そのエネルギー消費量はガスボイラーの55%ほど。ヨーロッパでは2009年に再生可能エネルギーとして認定されている。  エアコンなどで培った省エネ技術を応用し、ダイキンは2006年、パナソニックは2008年からヨーロッパでヒートポンプ式暖房を販売誌始めた。

 かねて環境意識が高い市民には知られていたヒートポンプだが、ネックは高い初期費用だった。温水タンクや室外機などの設置工事費を含めると、200万~300万円ほどの出費となる。  それがコロナ禍をきっかけに環境は一変した。コロナ復興基金を充てるグリーンディール政策の下でEU(欧州連合)各国は購入支援策を打ち出している。フランスでは、ボイラー式からヒートポンプ式への更新で費用総額の最大7割を税還付。イタリアでは100%を税控除する。


ダイキンは生産能力4倍に、欧州で品切れになるほど爆売れする日本企業の「暖房」

 さらに需要を後押ししているのが、ウクライナ危機を受けた光熱費の暴騰だ。国や製品性能によって差はあるが、「ヒートポンプ式の場合はボイラー式と比べて2割弱の光熱費節約になるという試算もある」(ダイキン)。ロシア産ガスに頼らない暖房として、2021年に約60万台だった設備台数は、2022年に4~5割伸びた。  この需要は、単なるバブルではなさそうだ。現在、ヨーロッパの住宅におけるヒートポンプ導入率は6%程度だが、欧州委員会は2022年5月の「リパワーEU計画」で建物の省エネ促進を提言し、導入割合を今後5年で倍増させると発表しているのだ。

■ダイキンは生産能力を4倍に  こうした動きを受けて、メーカーは投資合戦を繰り広げる。ダイキンは「2035年には販売されるほぼすべての家庭用暖房がヒートポンプに置き換わる」(ダイキンヨーロッパの亀川隆行副社長)との見立てから、約420億円をかけて初のヒートポンプ専用工場をポーランドに建設し、2024年7月に稼働を開始する。既存の3工場も増強し、生産能力を全体で4倍に引き上げる。   シェア上位につけるパナソニックも、2025年度までに約500億円を投じ、その枠内(約300億円)でチェコ、マレーシア工場を増強。チェコ工場では、テレビを製造していたラインを切り替えた。「狙える市場は大きい。追加投資を含めて、機動的に検討していく」(パナソニック空質空調社の道浦正治社長)。日系メーカーに負けじと、ヨーロッパや中韓メーカーも次々に投資計画を打ち出している。

 ヨーロッパ以外でも、オーストラリアやアメリカは今後有望な市場になりそうだ。世界のCO2排出量のうち、建物はその3割を占める。家庭の省エネの切り札として、日本発の製品の躍進が期待される。

印南 志帆 :東洋経済 記者

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