伊藤清
— luminous woman (@_luminous_woman) November 21, 2020
確率論
1998年
マネー革命3よりhttps://t.co/KOD3XC3QlA pic.twitter.com/F4Vycv9SDc
NHKスペシャル「マネー革命」
NHKスペシャル『マネー革命』は、アメリカの金融業界の裏側に迫った1998年放送4回シリーズのドキュメンタリー番組。
時代はインターネット黎明期。
ウォール街を拠点としたヘッジファンドが金融工学を駆使して莫大な利益を上げる一方で、日本では一般投資家にはまだネットによる株取引が浸透しておらず窓口での取引をしていた頃の話である。
この番組の特筆すべきことは、欧米金融界の超大物の単独インタビュー成功に尽きる。
ジム・ロジャーズのNYの邸宅を訪れたり、ジョージ・ソロスと一緒に故郷のプダペストまで同行したり、CMEを仕切るレオ・メラメッドの生い立ちを訊いたり、今ではコンタクトしたくてもおいそれと接触できないような超セレブ大物投資家がこれでもかとばかり登場し、赤裸々に金融業界の内幕を語っているのである。
企画したのは当時のNHKの辣腕ディレクター相田洋氏。
NHK製作スタッフはそれまで歴史番組や社会派ドキュメンタリー、主婦や子供の為の生活情報番組を制作してきたが、金融にまったく縁がなかった。
そこでまず投資関係の本集めに奔走し、猛勉強が始まった。
スタッフルームにはなんと500冊もの本が積み上がったという。
1年にわたる取材・制作期間中、制作スタッフは数々の特ダネをつかんだ。
とりわけビクター・ニーダーホッファーへのインタビュー成功は、全米のマスコミを驚愕させた。
彼は1997年10月のアジア通貨危機に遭遇し、たった1日で50億円もの損失を出し破産。
150社以上のマスコミから取材申し込みが殺到していたものの、それまで一切応じていなかったからだ。
実はこのスクープインタビューは、事前に計画されたものではなく突撃取材の賜物だったらしい。
取材クルーは当時のマーケットを揺るがす破産騒動で有名だったヘッジファンドLTCMの取材で、まだ撮影許可が取れない中、せめて建物外観だけでも撮影しようとコネチカット州に飛んだ。
ところがLTCMは別の場所に移転しており、撮影はまったくの空振り。
本来なら、番組のメインコンテンツは「世界最高と呼ばれたアメリカの投資ファンドの破綻」となる予定だったのであるが、その企画が頓挫しようとしていた。
途方に暮れるスタッフの1人が地図を見ると、同じく取材申請をしたものの2か月以上返事がないあの破産投機家・ニーダーホッファーの自宅が近くにあることに気付いた。
とりあえず場所の確認のためと、自宅前まで行った取材クルーは、ダメもとでインターフォンを押してみた。
アメリカでは住居不法侵入罪で訴えられることがあるので、アポ無し取材は御法度とされる。
ところが、驚くべきことにニーダーホッファー本人がクルーを敷地内に招き入れ、なんと1週間後にインタビュー撮影に応じたのだ。
世界中でたった1社、NHKだけが特ダネを掴んだ瞬間だった。
今日では、その貴重な映像がYouTubeで鑑賞できる。
すべてのトレーダー必見ともいっても過言ではない。
ニーダーホッファーは不世出の天才トレーダーと呼ばれていたわけだが、日頃から丹念にデータを分析し、比類なき情熱で相場に挑んでいたのがわかる。
インタビューに答え、破産の日を思い出し、思わず沈黙するニーダーホッファーが痛々しい。
最初見たときは、その場面では感情移入して涙ぐんでしまった。
なぜなら、僕も彼と同じように最初のサブプライム破綻で一瞬にしてサラリーマンの年収の何倍もの額の大金を失ったからだ。
あの心理的なダメージは実際に体験したものでないとわからないだろう。
忘れようと思っても、潜在意識の中に残り、一生そのトラウマが消えることはない。
話はこれだけでは終わらない。
当時、この番組を見て衝撃を受けたひとりの日本人の大学生の若者がいた。
後に彼は株式投資を始め、自らのHNをビクター・ニーダーホッファーから取ることになる。
いうまでもなく、あのBNF氏である。(Victor Niederhofferというつづりなので、本来ならVNHもしくはVNFなのだが)
破産してもなお戦うことををやめず自らの能力を信じて再起に賭けるニーダーホッファーの真摯な姿に感銘を受けたのだろう。
もし彼がこの番組を見ていなかったら、株式投資であれほど成功していなかったかもしれない。
いわば当時のNHKスタッフの尽力が、日本最強のモンスタートレーダーを生むきっかけになったといえる。
そう思うと、また感慨深いものがある。
一見温和そうに見えるBNF氏の内面には、ビクター・ニーダーホッファーと同じような"熱きトレーダーのスピリッツ"が息づいているに違いない。
そのトレードスキルはもはや、本物のビクター・ニーダーホッファーさえ凌駕しているのかのようだ。
ちなみに僕のHN、ジョンメリは、LTCMのボスである伝説のトレーダー、ジョン・メリウェザーから拝借した。
だから、BNF氏と同じく名前負けしないようにしなければいけない。
返信削除自分の資産の目減りを気にするあまり
国民の供給能力の毀損は気にしないという
無知ゆえの病気
マネー革命 「1日で50億円失った男」 https://youtu.be/1NetvTK21m8?t=30m23s
30:23 投機家の心得
(書籍版では投資家はドン・キホーテたれと謳う)
マネー革命1
353頁
353:
353 第六章 一日で50億円失った天才トレーダー
ピクターの愛読書は『ドン・キホーテ』
だ。本もおもちゃも衣類も散乱したままの荒れ放題である。部屋や廊下の隅々には綿埃
が舞っている。その中を歩くのだが、ビクターは邸内では靴を脱ぐようにと取材班に命じ
た。いわれてみるとピクターも子どもたちも裸足である。それがビクターのライフスタイ
ルだというのである。
投機家の生き方に熱弁を振るったビクターは、思いついたかのように私たちを地下の図
書室に案内した。地下の書庫は一〇畳ほどの薄暗い空間で、ここにもまた古書が並んでい
た。だが、すでに貴重な古書は持ち去られたあとらしく、多くの棚は空になっている。わ
ずかに残っていたのがドン・キホーテに関する二〇冊ほどの古書であった。彼はドン・キ
ホーテのような騎士道精神を投機の世界で貫きたいと願って
いるというのである。
ビクター 私にとって本というのは偉業を成し遂げるため
の知恵袋だった。かのドン・キホーテにとって最も
恐ろしかった出来事は、彼の財産管理を任せている
助手が彼の本を売り払って騎士道について学べなく
なってしまったことだった。これにはドン・キホー
テも涙を禁じえなかった。現代のドンキホーテた
るこの私も、今回の破綻を埋め合わせるために蔵書
を売るはめになった。それはわが人生で最も悲しい出来事だった。
こう言うと、ビクターはドン・キホーテの古書を一冊手に取ると、突然あるページを開
いて朗々と読み始めた。
ビクター ドン·キホーテは、二度目の旅の途中でヤギの群れのいる宿に立ち寄りまし
た。そこで食事をとって満腹になると、かのドン·キホーテはどんぐりをひとつ
かみ手にとって、こう言うのです。「私の目的は、乙女を守り、未亡人を庇護し、
孤児や困っている人々を助けることです」と。ああ、これこそがわが第二の旅立
ち………。
『ドン・キホーテ』の名場面、復活を誓うシーンですね。
ビクター これこそが私がやろうとしている再出発なのだ。麗しき乙女が安心して株
式市場の富と眠れるように、将来の正しい投機活動を目指してごまかしを減らし、
悪徳と不均衡を撲滅すべく努めているところだ。これは、困難な戦いに挑み、失
敗しても降伏しない男の物語だ。
-なるほど。
ビクター 私はドンのキホーテのように勇ましく逆境と戦い、市場の世界に騎士道をも
たらそうと誓ったのだ。そして悔い改めることのない政府と、市場のいきすぎを
引き起こす輩どもを相手に、投機によってバランスをもたらすのだ。投機家が安
全に航海できるような輝かしい時代を取り戻すのだ。堕落した政府の作り出した
不均衡は、投機の騎士によって直されるだろう。女性たちは悪党の略奪からは逃」
れられるだろう。今こそ彼らと対決するときなのだ。それ行けドン・キホーテ!
-でも、投機家のあなたがなぜドン・キホーテに興味を?
ビクター 私は投機を通じて悪をくじき善を助け、市場に騎士道を復活させたい。かつ
ては市場にそれがあったのだ。諦めてはいけない。私にはドン・キホーテの精神
があるのだから。そうだとも。私はやらなければならない。風車に立ち向かうド
ン・キホーテのように無駄な抵抗になるかもしれないが、再び私は成功に向けて
旅立ちたいのだ。
投機行為は市場の潤滑油であり、投機家の存在なくしては世界の市場は成り立たない。
将来にわたって価値の保全をしたい実務家。将来に発生しかねない損失を引き受ける代わ
りに莫大な儲けを得まうとする投機家。市場はこの両者によって成立する。市場の誰もが
返信削除マネー革命 「1日で50億円失った男」 https://youtu.be/1NetvTK21m8?t=30m23s
30:23 投機家の心得
(書籍版では投資家はドン・キホーテたれと謳う)
以下、書籍版2007,1999より
351頁〜
ビクター 私は本の中で投機家のあり方について述べているのだが、投機家たるもの高
い報酬を得るには、喜んで高いリスクに挑まなくてはならないと考えている。私
はこの二〇年間、常に三〇%もの高い利回りを出し「投機の歴史に残る名トレーダーだ」と賞賛されてきた。だから一九九六年のころ、まさに私は有頂天だった。
-なるほど。
ビクター そんな成功の頂点で、私はこの家を建てた。現在は抵当に入っていて、いつ
差し押さえられてもおかしくない状況だけどね。
…
投機家の生き方に熱弁を振るったビクターは、思いついたかのように私たちを地下の図
書室に案内した。地下の書庫は一〇畳ほどの薄暗い空間で、ここにもまた古書が並んでい
た。だが、すでに貴重な古書は持ち去られたあとらしく、多くの棚は空になっている。わ
ずかに残っていたのがドン・キホーテに関する二〇冊ほどの古書であった。彼はドン・キ
ホーテのような騎士道精神を投機の世界で貫きたいと願って
いるというのである。
ビクター 私にとって本というのは偉業を成し遂げるため
の知恵袋だった。かのドン・キホーテにとって最も
恐ろしかった出来事は、彼の財産管理を任せている
助手が彼の本を売り払って騎士道について学べなく
なってしまったことだった。これにはドン・キホー
テも涙を禁じえなかった。現代のドン・キホーテた
るこの私も、今回の破綻を埋め合わせるために蔵書
を売るはめになった。それはわが人生で最も悲しい出来事だった。
こう言うと、ビクターはドン・キホーテの古書を一冊手に取ると、突然あるページを開
いて朗々と読み始めた。
ビクター ドン・キホーテは、二度目の旅の途中でヤギの群れのいる宿に立ち寄りまし
た。そこで食事をとって満腹になると、かのドン・キホーテはどんぐりをひとつ
かみ手にとって、こう言うのです。「私の目的は、乙女を守り、未亡人を庇護し、
孤児や困っている人々を助けることです」と。ああ、これこそがわが第二の旅立
ち………。
-『ドン・キホーテ』の名場面、復活を誓うシーンですね。
ビクター これこそが私がやろうとしている再出発なのだ。麗しき乙女が安心して株
式市場の富と眠れるように、将来の正しい投機活動を目指してごまかしを減らし、
悪徳と不均衡を撲滅すべく努めているところだ。これは、困難な戦いに挑み、失
敗しても降伏しない男の物語だ。
-なるほど。
ビクター 私はドンのキホーテのように勇ましく逆境と戦い、市場の世界に騎士道をも
たらそうと誓ったのだ。そして悔い改めることのない政府と、市場のいきすぎを
引き起こす輩どもを相手に、投機によってバランスをもたらすのだ。投機家が安
全に航海できるような輝かしい時代を取り戻すのだ。堕落した政府の作り出した
不均衡は、投機の騎士によって直されるだろう。女性たちは悪党の略奪からは逃」
れられるだろう。今こそ彼らと対決するときなのだ。それ行けドン・キホーテ!
-でも、投機家のあなたがなぜドン・キホーテに興味を?
ビクター 私は投機を通じて悪をくじき善を助け、市場に騎士道を復活させたい。かつ
ては市場にそれがあったのだ。諦めてはいけない。私にはドン・キホーテの精神
があるのだから。そうだとも。私はやらなければならない。風車に立ち向かうド
ン・キホーテのように無駄な抵抗になるかもしれないが、再び私は成功に向けて
旅立ちたいのだ。
返信削除マネー革命 「1日で50億円失った男」
https://youtu.be/1NetvTK21m8?t=30m23s
30:23 投機家の心得
(書籍版では投資家はドン・キホーテたれと謳う)
以下、書籍版2007,1999より
351頁〜
ビクター 私は本の中で投機家のあり方について述べているのだが、投機家たるもの高
い報酬を得るには、喜んで高いリスクに挑まなくてはならないと考えている。私
はこの二〇年間、常に三〇%もの高い利回りを出し「投機の歴史に残る名トレーダーだ」と賞賛されてきた。だから一九九六年のころ、まさに私は有頂天だった。
-なるほど。
ビクター そんな成功の頂点で、私はこの家を建てた。現在は抵当に入っていて、いつ
差し押さえられてもおかしくない状況だけどね。
…
投機家の生き方に熱弁を振るったビクターは、思いついたかのように私たちを地下の図
書室に案内した。地下の書庫は一〇畳ほどの薄暗い空間で、ここにもまた古書が並んでい
た。だが、すでに貴重な古書は持ち去られたあとらしく、多くの棚は空になっている。わ
ずかに残っていたのがドン・キホーテに関する二〇冊ほどの古書であった。彼はドン・キ
ホーテのような騎士道精神を投機の世界で貫きたいと願って
いるというのである。
ビクター 私にとって本というのは偉業を成し遂げるため
の知恵袋だった。かのドン・キホーテにとって最も
恐ろしかった出来事は、彼の財産管理を任せている
助手が彼の本を売り払って騎士道について学べなく
なってしまったことだった。これにはドン・キホー
テも涙を禁じえなかった。現代のドン・キホーテた
るこの私も、今回の破綻を埋め合わせるために蔵書
を売るはめになった。それはわが人生で最も悲しい出来事だった。
こう言うと、ビクターはドン・キホーテの古書を一冊手に取ると、突然あるページを開
いて朗々と読み始めた。
ビクター ドン・キホーテは、二度目の旅の途中でヤギの群れのいる宿に立ち寄りまし
た。そこで食事をとって満腹になると、かのドン・キホーテはどんぐりをひとつ
かみ手にとって、こう言うのです。「私の目的は、乙女を守り、未亡人を庇護し、
孤児や困っている人々を助けることです」と。ああ、これこそがわが第二の旅立
ち………。
-『ドン・キホーテ』の名場面、復活を誓うシーンですね。
ビクター これこそが私がやろうとしている再出発なのだ。麗しき乙女が安心して株
式市場の富と眠れるように、将来の正しい投機活動を目指してごまかしを減らし、
悪徳と不均衡を撲滅すべく努めているところだ。これは、困難な戦いに挑み、失
敗しても降伏しない男の物語だ。
-なるほど。
ビクター 私はドン・キホーテのように勇ましく逆境と戦い、市場の世界に騎士道をも
たらそうと誓ったのだ。そして悔い改めることのない政府と、市場のいきすぎを
引き起こす輩どもを相手に、投機によってバランスをもたらすのだ。投機家が安
全に航海できるような輝かしい時代を取り戻すのだ。堕落した政府の作り出した
不均衡は、投機の騎士によって直されるだろう。女性たちは悪党の略奪からは逃」
れられるだろう。今こそ彼らと対決するときなのだ。それ行けドン・キホーテ!
-でも、投機家のあなたがなぜドン・キホーテに興味を?
ビクター 私は投機を通じて悪をくじき善を助け、市場に騎士道を復活させたい。かつ
ては市場にそれがあったのだ。諦めてはいけない。私にはドン・キホーテの精神
があるのだから。そうだとも。私はやらなければならない。風車に立ち向かうド
ン・キホーテのように無駄な抵抗になるかもしれないが、再び私は成功に向けて
旅立ちたいのだ。
返信削除マネー革命 「1日で50億円失った男」
https://youtu.be/1NetvTK21m8?t=30m23s
30:23 投機家の心得
(書籍版では投資家はドン・キホーテたれと謳う)
以下、書籍版2007,1999より
351頁〜
ビクター 私は本の中で投機家のあり方について述べているのだが、投機家たるもの高
い報酬を得るには、喜んで高いリスクに挑まなくてはならないと考えている。私
はこの二〇年間、常に三〇%もの高い利回りを出し「投機の歴史に残る名トレーダーだ」と賞賛されてきた。だから一九九六年のころ、まさに私は有頂天だった。
-なるほど。
ビクター そんな成功の頂点で、私はこの家を建てた。現在は抵当に入っていて、いつ
差し押さえられてもおかしくない状況だけどね。
…
ビクター 私にとって本というのは偉業を成し遂げるための知恵袋だった。かのドン・キホーテにとって最も
恐ろしかった出来事は、彼の財産管理を任せている助手が彼の本を売り払って騎士道について学べなく
なってしまったことだった。これにはドン・キホーテも涙を禁じえなかった。現代のドン・キホーテた
るこの私も、今回の破綻を埋め合わせるために蔵書を売るはめになった。それはわが人生で最も
悲しい出来事だった。
こう言うと、ビクターはドン・キホーテの古書を一冊手に取ると、突然あるページを開いて朗々と読み始めた。
ビクター ドン・キホーテは、二度目の旅の途中でヤギの群れのいる宿に立ち寄りまし
た。そこで食事をとって満腹になると、かのドン・キホーテはどんぐりをひとつ
かみ手にとって、こう言うのです。「私の目的は、乙女を守り、未亡人を庇護し、
孤児や困っている人々を助けることです」と。ああ、これこそがわが第二の旅立
ち………。
-『ドン・キホーテ』の名場面、復活を誓うシーンですね。
ビクター これこそが私がやろうとしている再出発なのだ。麗しき乙女が安心して株
式市場の富と眠れるように、将来の正しい投機活動を目指してごまかしを減らし、
悪徳と不均衡を撲滅すべく努めているところだ。これは、困難な戦いに挑み、失
敗しても降伏しない男の物語だ。
-なるほど。
ビクター 私はドン・キホーテのように勇ましく逆境と戦い、市場の世界に騎士道をも
たらそうと誓ったのだ。そして悔い改めることのない政府と、市場のいきすぎを
引き起こす輩どもを相手に、投機によってバランスをもたらすのだ。投機家が安
全に航海できるような輝かしい時代を取り戻すのだ。堕落した政府の作り出した
不均衡は、投機の騎士によって直されるだろう。女性たちは悪党の略奪からは逃
れられるだろう。今こそ彼らと対決するときなのだ。それ行けドン・キホーテ!
-でも、投機家のあなたがなぜドン・キホーテに興味を?
ビクター 私は投機を通じて悪をくじき善を助け、市場に騎士道を復活させたい。かつ
ては市場にそれがあったのだ。諦めてはいけない。私にはドン・キホーテの精神
があるのだから。そうだとも。私はやらなければならない。風車に立ち向かうド
ン・キホーテのように無駄な抵抗になるかもしれないが、再び私は成功に向けて
旅立ちたいのだ。
30:23 投機家の心得
返信削除(書籍版では投資家はドン・キホーテたれと謳う)
以下、書籍版2007,1999より
ビクター 私は本の中で投機家のあり方について述べているのだが、投機家たるもの高
い報酬を得るには、喜んで高いリスクに挑まなくてはならないと考えている。私
はこの二〇年間、常に三〇%もの高い利回りを出し「投機の歴史に残る名トレーダーだ」と賞賛されてきた。だから一九九六年のころ、まさに私は有頂天だった。
-なるほど。
ビクター そんな成功の頂点で、私はこの家を建てた。現在は抵当に入っていて、いつ
差し押さえられてもおかしくない状況だけどね。
…
投機家の生き方に熱弁を振るったビクターは、思いついたかのように私たちを地下の図
書室に案内した。地下の書庫は一〇畳ほどの薄暗い空間で、ここにもまた古書が並んでい
た。だが、すでに貴重な古書は持ち去られたあとらしく、多くの棚は空になっている。わ
ずかに残っていたのがドン・キホーテに関する二〇冊ほどの古書であった。彼はドン・キ
ホーテのような騎士道精神を投機の世界で貫きたいと願って
いるというのである。
ビクター 私にとって本というのは偉業を成し遂げるため
の知恵袋だった。かのドン・キホーテにとって最も
恐ろしかった出来事は、彼の財産管理を任せている
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なってしまったことだった。これにはドン・キホー
テも涙を禁じえなかった。現代のドンキホーテた
るこの私も、今回の破綻を埋め合わせるために蔵書
を売るはめになった。それはわが人生で最も悲しい出来事だった。
こう言うと、ビクターはドン・キホーテの古書を一冊手に取ると、突然あるページを開
いて朗々と読み始めた。
ビクター ドン・キホーテは、二度目の旅の途中でヤギの群れのいる宿に立ち寄りまし
た。そこで食事をとって満腹になると、かのドン・キホーテはどんぐりをひとつ
かみ手にとって、こう言うのです。「私の目的は、乙女を守り、未亡人を庇護し、
孤児や困っている人々を助けることです」と。ああ、これこそがわが第二の旅立
ち………。
『ドン・キホーテ』の名場面、復活を誓うシーンですね。
ビクター これこそが私がやろうとしている再出発なのだ。麗しき乙女が安心して株
式市場の富と眠れるように、将来の正しい投機活動を目指してごまかしを減らし、
悪徳と不均衡を撲滅すべく努めているところだ。これは、困難な戦いに挑み、失
敗しても降伏しない男の物語だ。
-なるほど。
ビクター 私はドン・キホーテのように勇ましく逆境と戦い、市場の世界に騎士道をも
たらそうと誓ったのだ。そして悔い改めることのない政府と、市場のいきすぎを
引き起こす輩どもを相手に、投機によってバランスをもたらすのだ。投機家が安
全に航海できるような輝かしい時代を取り戻すのだ。堕落した政府の作り出した
不均衡は、投機の騎士によって直されるだろう。女性たちは悪党の略奪からは逃
れられるだろう。今こそ彼らと対決するときなのだ。それ行けドン・キホーテ!
-でも、投機家のあなたがなぜドン・キホーテに興味を?
ビクター 私は投機を通じて悪をくじき善を助け、市場に騎士道を復活させたい。かつ
ては市場にそれがあったのだ。諦めてはいけない。私にはドン・キホーテの精神
があるのだから。そうだとも。私はやらなければならない。風車に立ち向かうド
ン・キホーテのように無駄な抵抗になるかもしれないが、再び私は成功に向けて
旅立ちたいのだ。
写真左下がよく使われる
返信削除プラス
ゲーム理論
離散数学(グラフ理論)
が、必要になる。
参考:
経済数学入門の入門
田中久稔2018岩波新書
繰り返し計算の収束性を分析するための数学的な方法は関数解析と呼ばれています。関数解析は無限次元空間における幾何学を分析するための学問であり、線形代数の上級版に相当します。関数列の収束を論じるにあたっては、通常の数列の収束性を判定するために用いたデルタ・イプシロン論法が多用されます。したがって、微積分と線形代数が合体したような分野が関数解析です。関数解析は、数値計算法のための基礎理論でもあります。もし余裕があるならば、ぜひ勉強してほしい分野です。
経済数学の直観的方法 確率・統計編
長沼伸一郎2016年12月ブルーバックス
さてではその「伊藤のレンマ」や確率微分方程式というものは,一体何をやりたかったのかということだが,この話題もやはり初級編からの思想が頭に入っていれば,比較的すんなりと理解できる。
大体「確率微分方程式」などというと如何にも難解に聞こえるが,その基本的な式の形は単純で,それは,
dw=Adt+Bdw
というものである。そして実はこれは,初級編からの思想で繰り返し述べたこと,つまり「一般に物事の動きは,一定方向に動いて人間が予測できる部分と,±どちらの方向にもランダムに動いて確率に委ねるしかない部分に分かれる」を,そっくりそのまま式に表現したものなのである。
経済数学の直観的方法 マクロ経済学編 2016年10月長沼伸一郎
そしてラムゼイ・モデルなどは今の話の「フリー交通券の購入」のところを「消費」に置き換え,また「旅行者用預金」のところを「投資・貯蓄」などの,より一般的な概念に置き換えた形で,その基本部分が作られている。 要するに例えばソファなどの高価な一生ものの家具を買って生活を楽しむ場合も,それをライフプランの中のいつの時点で購入するかという問題は,基本は先ほどのフリー交通券をいつ購入するかという問題と同じである。そして手持ちの資金をその種の消費に回すか,それとも金利のことを考えて投資に回すかという問題と同じことであり,それを一般的な経済の消費と投資の問題としてきちんと定式化したものが「ラムゼイ・モデル」だと思えば良いだろう。
…
天体などの位置を求める,「最小化されるべき量」であるラグランジュアンLから一発で最終的な解答である天体や粒子の軌跡x(t)の曲線を導き出すための,決定版的なツールとなったのである。 要するにそのポイントとなる要件を整理すると,
要件1 オイラー方程式はラグランジュアンから導かれる微分方程式で,これを経由すれば一発で位置x(t)の時間的変化の曲線が求まる。
要件2 この方程式はxとxの2つの変数で書かれている。 の2点で,これを両方満たすものを「オイラー方程式」と呼んでおり,経済学部ではそのように理解していてよい。
…
ラグランジュアンは「何かを最小化する」という思想からスタートしているのに対し,ハミルトニアンは「何かを常に一定不変にする」という思想がベースとなっているということである。
…
しかし将来「持続可能な経済」という考え方が支配的になってきた場合には,むしろラグランジュアンよりハミルトニアンのこういう使い方の方が,マクロ経済学の主力になってくるかもしれない。そしてそうなった場合,このツールが経済学の世界ですでに国際標準として普及しているということが大きなメリットとなりうる。つまり現在,環境の経済学と国際金融ビジネスの経済学は,水と油で接点を見つけにくいのだが,これをうまく使えば現場で両者を融合させることが比較的容易にできるかもしれないということである。 これは物理屋ならではの指摘かもしれないが,しかしそこまでを視野に入れておくと,これを教養として頭に入れておくことの価値は馬鹿にならず,日本の経済学が将来「攻め」に転じる際に記憶のどこかに留めておくと良いと思われる。そのことも含めて,現在のマクロ経済学に関しては単に丸暗記でなく,背後の思想的背景から教養としてしっかり理解するということこそ,現在の日本に何よりも求められていると筆者は思うのである。