消費税減税 ニッポン復活論 (ポプラキミノベル) Kindle版 藤井聡 (著), 森井じゅん (著)
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森井じゅん
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#2
消費税は「預り金」なのか
森井 そんな導入や目的から誤解だらけの消費税ですが、その実態も多くの人のイメージと違ったものなんです。 消費税のイメージというと、消費にかかっている税。消費者が消費税を本体価格に上乗せして店に預けている、その集めた消費税を店が税務署に納めている、つまり消費税は消費者だけが負担して、お店である事業者はあくまでも預かったもの=「預り金」を国に納めているだけというイメージがあると思います。でも実は、みなさんのイメージとは少し違うというお話からしていきたいと思います。
藤井 このあたりは、なかなか一般に広まっていないところですので、じっくりお話をお聞きしたいですね。
森井 はい。まずお伝えしたいのは「消費税は預り金ではない」ということですね。
藤井 預り金というのは、たとえば100円の品物を小売店が売り、僕たちは110円を払った。そうすると、その100円は店に、10円は国にいくお金だけど、とりあえず店が10円預かっておいて、納税時期がきたら、その10円を僕が納付する代わりに間接的に店が払うと。これが預り金のイメージですね。でも消費税は預り金ではないと。
森井 そうです。消費税が導入された直後に、益税問題というものが発生しました。益税問題とは、「消費者が事業者に預けたはずの消費税が国に納められていない! 預かった事業者がネコババしていて問題だ!」という主張です。
そもそも消費税には、一定の規模以下の事業者は、消費税の申告も納税もしなくていい、一方で還付も受けない、という免税事業者制度があります。消費税導入当時、基準となる期間の売上高が3000万円以下の場合は、この免税事業者になることができました。ところが、こういった事業者が税金をピンハネしているという議論が巻き起こりました。これが益税問題です。
たとえば文房具屋さんでペンを買って、3%の消費税を店に払いました。でも、その店は免税事業者だから、その預かった3%の消費税を国に納めていない。僕たちが国に払うはずの税金を店に預けているのに、それがネコババされているんじゃないかと裁判になったんです。
藤井 それが預り金だとしたら、その預かったものをネコババしとるじゃん、それ、お前おかしいんじゃないかという裁判ですね。
森井 そのとおりです。横領だ、それは許されないだろうということで、裁判が起こされたんです。まず、大前提として消費税法で、納税義務者は事業者なんですね。だから消費税を納めているのは、あくまでも消費者ではなく事業者。
ここで論点は、お店は消費税を預かっていると思われている。預かったものを国に納めているはずだと思われている。つまり、消費税において事業者は「徴収義務者」なのか、というところです。
たとえば会社からお給料をもらうときに、事業者である会社はお給料から所得税等を天引きして、従業員に手取りを渡しますよね。この天引きにおいて、会社は源泉徴収義務者です。つまり、会社はその税金を預かってそれを税務署に納めるという義務があります。預かって納めるという意味で、みなさんの消費税に対するイメージと似ているのではないでしょうか。 消費税においてこれと同様に、事業者が徴収義務者であれば、消費税だって、預かって納めるんだから徴収義務者じゃないのか。だとしたらネコババするのはダメじゃないか、というところが裁判の注目ポイントになったわけです。
結局、判決で明らかにされたのは、事業者は徴収義務者ではない、ということ。消費税法にある通り、事業者は納税義務者として消費税を納める義務がある。一方で、消費者から徴収する義務のある徴収義務者か、というと徴収義務者ではない。
つまり事業者は消費税を消費者から預かる義務もないし、消費税は店に預ける義務もない。事業者は、売上や仕入れなどから一定の計算によって算出された結果を消費税として税務署に納める、それだけです。
ではレシートに書かれている、消費税3円とか10円とは何か。それは、あくまで「対価の一部」にすぎず、110円のものは110円出さないと買えない。それ以上でも、それ以下でもないということです。
#3
消費税は「利益」と「人件費」にかかる付加価値税
藤井 これまで、いろいろな統計資料を見れば、消費増税が、どうやら日本に破壊的な影響をもたらしていることは、明らかだ、ということをお話しして参りました。つまり消費が減って、賃金も下がり、GDPも下がる。消費増税のせいで、我々は貧困化すると同時に国力が激しく衰退していき、世界が成長する中、日本だけがダメになっていっている。
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これが本当なら消費税というのは、大企業や経営者といった「強者」にはさして負担にならないものである一方で、消費者、中小企業・下請けのみならず、労働者という弱者にばかり負担させる、弱者だけをいじめるとんでもない税制だ、っていう事実が浮かび上がってきます。なぜそんなことになるのか。森井さんから、詳しくわかりやすくご説明いただけると幸いです。
森井 はい、よろしくお願いします。まずお伝えしておきたいのは、2章の最後でもちらっと触れましたが、消費税というのは、海外でいうところの「付加価値税」ということです。つまり付加価値にかかる税金です。
では付加価値というのは何か。それは「利益」と「人件費」です。この二つが計算の課税ベースになります。 藤井 森井さんがかねてご指摘されている、消費税は「企業が労働者に賃金を払う」という行為そのものに対する税金であるということですね。 森井 はい。先にご説明したとおり、消費税はあたかも消費者が買い物しながら払っている気になりますが、消費税を納めるのは事業者です。しかも事業者は消費者から消費税を預かって、それをコツコツ積み上げて納税しているわけではなく、1年分の税込みの売上高から消費税額を算出し、複雑な計算を経て納税額を算出し、納税します。
消費税額の計算式は、[図表13]のとおりです。
「売上高×11分の1(消費税分)」-「原価等×11分の1(消費税分)」=消費税額。つまり1年間の合計税込売上高から原価等を引いて、残った人件費と利益という「付加価値」に消費税がかかると考えられるのです。
藤井 付加価値というのは、その事業者が仕入れた原材料につけた価値の総量というイメージですね。たとえば木製の机は、木からできているわけですが、木だけでは机として使えないので、机屋という事業者が1000円で木を仕入れて、切って組み立てて机という形にしたら、1万円で売れたと。そうすると9000円の付加価値が付与されたということですよね。ですから言葉の定義上、付加価値というのは、事業者が仕入れてきたものにつけた価値の総量ということですよね。
森井 まさにそのとおりです。
藤井 今の例でいうと、その9000円という付加価値が何でできあがっているかというと、9000円のうち、机をつくった机職人に4000円払うとすれば、これが人件費になる。そうすると、机屋が1000円で仕入れたものが1万円で売れて、9000円もうかったけれど、9000円のうちから4000円の人件費を支払うと、残りが5000円になる。
これが純利益。したがって今の話からいくと、この9000円は、5000円の利益と4000円の人件費からでき上がっていることになる。だから付加価値は、人件費と利益というものになるんですね。
森井 はい、そうです。
藤井 ちなみに、これは労働者を雇っている場合であって、一人で机をつくっている会社で考えると、利益と人件費というのは区別がありません。これはただ単に利益になりますが、ここでいうのは、会社というものがあって、労働者を働かせていると。その働かせる対価として賃金を払っていると考えてくださいということですね。 森井 そうです。先生のおっしゃる通り、一人親方であれば売上から原価を差し引いたものが付加価値であり、それがそのまま利益です。 一方、会社員・従業員などを雇っている会社の場合には売上から原価を差し引いた付加価値、これは人件費と利益に分解できます。 藤井 森井さんの話でいくと税務署は、この9000円の11分の1を消費税分として払いなさいと言っているということですよね。 森井 そのとおりです。9000円×11分の1=約800円を消費税として税務署に納めることになります。 藤井 1万円の11分の1を払うんじゃないということですね。9000円の部分を払っている。では仕入れた1000円の11分の1は誰が払っているかというと、木を伐り出してきた木こりが払う義務を負っている。ですから財務省の考え方としては、1万円の11分の1を国民からむしりとるけれど、9000円の分は机屋という事業者から、1000円の分は木こりからむしりとるということですね。 つまり木こりは、その1000円が全部木こりの付加価値だし、9000円は机屋の付加価値だし、ということで末端小売価格1万円というものは、基本的にこの地球上に存在している経済価値ゼロの「自然に生えている木」に対して、木こりが1000円の付加価値を積み上げて、机屋が9000円の付加価値を積み上げて、1万円という経済価値を生むようになっているわけですよね。 すなわち、これは洋服でも食料品でも我々が手にする商品すべてについて言えることですよね。たとえば海で魚が泳いでいるだけなら経済価値はゼロですが、漁師が釣り上げてマーケットに持って行けば、それが一匹1000円とか2000円になる。 ですから経済学的にいうと、スーパーやレストランでの小売価格というのは、全額、付加価値なわけですね。最初は付加価値ゼロだけど、これに漁師さんや、魚屋さんやお寿司屋さんが、少しずつ付加価値を足していく。で、寿司屋でくるくる回ってくる、あの200円の一皿のお寿司は、そんな付加価値の合計値なわけですね。 森井 そうです。それが付加価値ということです。 藤井 なぜ日本では消費税を付加価値税と呼ばないのでしょうかね。 森井 消費税の導入はその名称でも大揉めに揉めました。中曽根さんの時代に導入を試みた「売上税」は国民の猛反発を受けました。結局、審議入りすらできずに廃案になったほどです。 特に事業者の反発が大きく、「売上税反対デモ」も各地で行われました。その後、いろんな形で導入が試みられましたが最終的には、あくまでも「消費」にかかる税だと前面に出し、より浅く広くと印象付ける。それにより、事業者の反発をかわし、国民の抵抗感を薄めようとしたのだと思います。そして、実際に消費税の名前で導入されてしまったわけです。
弱者から吸い上げたお金が大企業に入るミステリー
藤井 そして、もう一つ背後にあるのが、森井さんがかねておっしゃっていた輸出企業優遇税としての側面です。今日において大企業というのは、基本的に輸出企業ですから消費税というのは、ダブルでおいしい。
一つは先ほどからお伝えしているように、法人税を下げることを許容してくれる税金であること。もう一つは輸出するときに、実質的に輸出品が減税になっているということですね。 つまり、これは日本のメーカーがモノをつくった場合、日本人に売ったら10%の消費税がかかりますが、外国人に売ったら消費税はかからない、という仕組みになっているからです。だからメーカーは日本国内で売るぐらいなら海外で売ってやろうということで、国内販売課税になっているんです。これはいわば、国内だけでビジネスをしているやつらから税金をとって、輸出しているやつには減税してやっているようなものですから、輸出企業優遇税になっているんですね。
もともと政府には国内産業を輸出に振り向けて、国際競争力をつけようという意図があったのだろうし、輸出企業たちも政府に働きかけて税金を安くしてくださいよとロビー活動をしていたと。その帰結として消費税が導入されたわけですね。森井さん、その歴史について、ちょっと教えていただけますか。
森井 はい。そもそも世界で初めて付加価値税が導入されたのが1954年、フランスです。当時の時代背景として自由貿易を進めていこうという目標があったんです。そこでいわれていたのが、自国の輸出企業に補助金を与えてしまうと、国際競争力をゆがめてしまうからよくないということ。自由貿易を促進するには、自国の輸出企業を応援するのは、あまりよくないという向きが国際間でもありました。
しかし外需を取りにいきたい国からしたら、輸出企業を応援したい、でも補助金はあげられない。そんなときに考えられたメカニズムが付加価値税なんです。
藤井 この付加価値税、日本における消費税は、実質、輸出企業に対する補助金と同じような機能を果たしているということですね。それは、どんなふうに機能しているんですか。
森井 消費税を当局が運用したがる「預り金」の形で説明しましょう。非常に簡単に言うと、消費税は、「預かった消費税相当分」と「支払った消費税相当分」を相殺する形で計算します。
ですから、預かった消費税相当分が支払った消費税相当分より大きければ納税額が発生しますが、逆であれば還付となります。例えば、預かった消費税相当分がゼロ、支払った消費税相当分がたくさんあった、という場合は大きな還付額になる可能性がある、ということです。 なぜ「可能性」というのか。これはどんな種類の売上か、によって計算が変わってくるからです。売上の種類によって、たとえ「預かった消費税がゼロ」であっても還付がある場合とない場合があるのです。
ちょっと細かい話になりますが、そもそも消費税の対象にならないものを除くと、取引は「課税」と「非課税」に分けられます。「非課税」の売上とは例えば、住宅の貸付や教科書の販売などです。この「非課税」売上でないものは「課税」です。
輸出はどの区分になるか、というと「課税」になります。輸出は消費税がかからない、と言われますが、「非課税」ではなく、「0%課税」なのです。これはよく「輸出免税」と呼ばれます。この区分がとても重要なのです。
実は消費税の計算はすごく複雑で細かいのでここで説明はしませんが、すべて輸出売上であった場合、預かった消費税相当分がゼロで、支払った消費税相当額が還付の対象です。一方、すべてが非課税売上であった場合、同様に預かった消費税相当分はゼロですが、支払った消費税相当額は還付されません。これは「課税」売上に対応する「支払った消費税相当額」のみが消費税の計算の対象となるからです。 「預り金的」に考えても、え? となりませんか。これは輸出企業への優遇に特化した仕組みともいえるわけです。輸出企業が下請けに支払った消費税分は返してあげましょうというのが消費税のざっくりとした仕組みとなっています。
藤井 たとえば、ある企業が車をつくったと。それを国民に売ったら消費税をいただくことができる。いただいたものの中から、鉄やタイヤなど原材料を買った仕入れ先に支払うときは、消費税を支払っていると。その原材料を買うときに支払った消費税は、最終的に消費者からいただいているというストーリーですね。
ただし、これは国内に売ったときで、海外に売ったときは消費税がとれないので、たとえば100万円の車をアメリカに100万円で売ることができるのに、日本だと110万円になっている。原材料に20万円かかっていたら、仕入れ先に20万円の消費税の約2万円を払っている。ところが自動車会社がアメリカに100万円で売ったら消費税はもらえないので、原材料に20万円払ったときの2万円の消費税は、自動車会社が払っているだけになっている。これに対して政府が「あら、かわいそう」といって2万円をあげると。これが還付金という制度ですね。
森井 はい、そうです。
藤井 この還付金の制度を設計するにあたって使われたのが、預り金という幻想物語。そうやって政府が企業に2万円を補助すると、輸出の規模が大きくなればなるほど、入金が増えるという仕組みができあがったわけですね。
これには、2つのおぞましいウソがあります。
ひとつは単に輸出企業を補助するために、ものすごい大仕掛けとして、消費税という物語が導入されたという意味でのウソ。もうひとつは、預り金というウソを建前としてつくっているということなんですね。
でも、これは預り金ではなく、価格というのはマーケットと力関係で決まるということは先ほども詳しくお話しした通りです。特に大企業は下請けに対して、消費税分は値引きしとけよと、消費税分を下請けに全部、転嫁することもできるわけですよね。
森井 できますね。
藤井 ですから大企業は2万円払っている、預り金だという体裁をとっているけれど、実際は下請けに価格を引き下げさせているので、2万円全額を払っていないケースが多いんですよ。そうなると、この2万円は純然たる補助金になっているんですね。
もちろん本当に2万円を払ってあげるなら、補助金としては機能していないことになりますが、この制度を導入したときに預り金ではない、元請けは下請けに2万円を負担させられることを理解して導入しているので、そういう意味で純然たる補助金であると言えます。
森井 そうですね。下請けに払った分の11分の1が補助金になっていますね。
藤井 でも財務省の判断としては、これは上乗せになっている預り金だから補助金じゃないと言えているわけです。
森井 そのとおりです。だからこそ預り金的というのは、絶対にはずさないというのが財務省の姿勢ですよね。 藤井 そうですよね。補助金として機能しているけれど、補助金じゃないよという建前が成立するので、森井さんがおっしゃったように、預り金なんだという建前は絶対にはずさない。
森井 絶対にはずさない。意地でもはずさない。
藤井 なんにしても還付金というのは、すごいもんですよね。輸出企業が下請けに払った11分の1を財務省が払っているんだから。国が大企業に払っている!
森井 そうなんですよ。あらゆる力関係の結果として吸い上げた消費税が、大企業に何兆円と還付されているんです。赤字の小さい会社からいっぱい集めてきたものを、何兆円という規模で輸出企業に還流するという構図が消費税の中にあるんです。
藤井 さらにいうと、消費者にも一部価格が転嫁されていますから、消費者からも吸い上げて、労働者からも吸い上げて、そして中小企業の事業者からも吸い上げて。
森井 弱い人からいっぱい吸い上げて。
藤井 消費者、労働者、中小企業という弱者から吸い上げたものを、大企業に還流させる仕組みとして、そもそも消費税はフランスで導入されたわけですね。
消費税を導入したら大企業は、これはおいしいわと思って「消費税を導入しないなら別のところに移転するぞ」と各国政府に脅しをかける。大企業、グローバル企業はもうかるから。各国政府としては大企業があれば、それでも法人税が一部入るから「いや、いてくださいよ」ということで、各国で消費税導入競争が始まったんです。それに日本も巻き込まれたと。
日本の政治家はグローバル化が大好きですから、グローバル化を促進するために、この消費税を導入することは、必至だったわけです。必然だった。国民をだまして裏切って、金を吸い上げて、大企業に血税を集めて「これでなんとか、ここに工場を置いてください」とやっているわけですよ。それで日本の経団連も「それを俺たちにくれないなら、出ていくぞ」と言っているわけです。
森井 それで大企業は、どんどん海外に拠点を移して……。
藤井 大企業は今いる国に「撤退するぞ」と脅しをかければ、いくらでも法人税は引き下げられるし、その代わりの消費税増税も「可能」となる。そして、増税されればされるほど、大企業の還付金は増えて、労せずしてもうけることができる。今や大企業は、お金をもうけるためのオートマティックマシンと化していますから、彼らはマーケットからお金を吸い上げるための製品開発を行うと同時に、各国政府にロビー活動をし、献金なんかをちらつかせて「出ていくぞ」と脅しをかけることで、消費税を増税させてお金をもうけるんです。還付金でもうける。
しかもポイントは、グローバル企業は、その企業の拠点となっている国の消費税による悪影響が少ないということです。なぜなら、グローバル企業は、その国にだけ物を売っているわけではないから。
例えば、日本国内のグローバル企業は、日本以外の世界中の国々でもモノを売っているので、日本でだけ消費税が増税されて日本で多少売れなくなったとしても、さしてダメージを受けない。その一方で、外国で売りさばいた売上については還付金が日本国政府からもらえる。だから日本国内のグローバル企業は、消費増税によるデメリットよりもメリットの方が圧倒的に大きいわけです。
しかし、これははっきり言って、お互いに首を絞めている。すべての国のグローバル企業がそう思っているので、結局、全ての国で消費税/付加価値税が引き上げられていくからです。もしすべての国が消費税を増税したら、すべての国で消費が低迷するので、グローバル企業だって回り回って損をします。
みんなが私利私欲に走ることで、世界が地獄に落ちる、こういう状況を、一般に「社会的ジレンマ」の状況と言います。皆が利己的になればなるほど、皆が損をする、というジレンマ状況ですね。
2021年6月18日
— MMT太郎🐶日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。 (@MMT20191) June 18, 2021
日本の未来を創る勉強会
藤井先生
「なぜ政府が破綻しないのかというと
政府が『貨幣』を創っているから
AKB48がAKB48握手券を観客に配る時に、それは自分らがナンボでも配っていいわけですから、お客さんからAKB48握手券を借りてどうやって破綻するんですか?また刷ればいいじゃない pic.twitter.com/WjyakSnpcX
https://twitter.com/MMT20191/status/1405828238803279874?s=20&t=1B-OFTXPU2EhsaXJZDX4eQ
#4
お金はアイドルの握手券と同じ
藤井 貨幣というものの本質を理解するために、あえて比喩を用いてご説明するなら、貨幣というのはさながら、「AKB48の握手券」のようなものなんです。AKB48の握手券というものは、AKB48が発行しようと思えば、いくらでも発行できます。もちろんあまり刷りすぎると、握手券の価値がなくなってよくありませんが、そうならない限り、好き勝手にいくらでも刷ることができます。
そしてAKB48が握手券を発行しすぎて価値が低くなったら、例えばAKB48はファンから握手券を大量に借りることを通して握手券の価値を上げることができる。そうすることで、出回っている握手券の枚数をぐっと抑えることが可能となるからです。つまり、AKB48の事務所は別にほしくないけれど、一応借りることもできるということです。
そうやってAKB48が握手券を借りている間に、仮に事務所が火事になって握手券が燃えてしまったとしましょう。そんなときファンが「返せ!」と押しかけてきたとすると、AKB48の事務所は破綻するかというと、絶対に破綻しないですよね。なぜかというと、自分たちがまた握手券を発行すればいいからです。それと全く同じ状況に、イギリスもアメリカも日本もあるんです。
だから、イギリスはポンド、アメリカはドル、日本は円で借金している以上、破綻しないんです。さらにホントのことをいうと、イギリスもアメリカも日本も税金なんてとらなくても政府の事業を今のまま続けることは、やろうと思えばできるんです。だから事業のために税収なんて全然いらない、っていうことも言えるんです!
ただ、それをやっているとAKB48の握手券を無尽蔵に配った時と同じように、お金が増えすぎてお金の価値がなくなる、という問題が生ずる。そんな問題を克服する、回避するために、政府は国民からお金を大量に借りたり、税収で吸い上げたりする。そうすれば、市場に出回る貨幣量をぐっと少なく抑えることが可能となって「インフレ率(物価上昇率)が2~4%」におさまるように貨幣量を調整することができる。もちろん無尽蔵にお金を使えば、とてつもないインフレ(物価高)になって、国民はモノが買えなくなって経済が大いに混乱してしまう、という問題があります。だから、上記のように借金してお金を吸い上げたり、税収でお金を吸い上げることが必要なんですが、「政府は破綻するから借りたらダメなのだ」という話は完璧なウソ話で、デタラメなんです。繰り返しますが、通貨発行権がある日銀が事実上の政府の子会社だからです。
そもそも借金がなぜ右肩上がりで増えていくかというと、経済が成長しているからです。昔は経済が小さかったので、最初は100万ポンドで回っていたけれど、経済が成長してきたら500万ポンド、1億ポンドというお金が必要になってくる。大きなお金がすごい速さで回るようになったので、お金の枚数が足らなくなってきたんです。だから政府は国債を発行し、それで中央銀行から貨幣を調達し、それを使うことで、マーケットにおけるお金の量を増やしてあげている。つまり、借金を増やすことで国民のお金を増やしているんです。ですから政府が借金を増やすことは悪いことではなく、お金を増やすというポジティブな意味を持っているんです。だからこそ日本も経済成長するには、日本政府がたくさん借金して、世の中にお金を供給していかないといけないわけです。
しかし現状は政府が大量の(それこそ、年間20兆円以上もの)消費税を吸い上げているから、お金の量が増えていかない。実際、[図表20]を見てもイギリスもアメリカも政府の借金が「順調」に右肩上がりで増えているのに、日本だけがここ最近、借金の伸び方が鈍化していることが見て取れますね。消費増税なんかして、余分に吸い上げているから、政府の借金、つまりは世の中に流通している貨幣の量の伸び方が鈍くなってきたんですね。 [図表20]のグラフをよく見ると日本は、消費税を増税した1990年代の後半頃から、政府の借金がほとんど増えていかないようになっていることがわかります。これはすなわち、世の中のお金が増えていかないということを意味しているわけで、その結果、経済が回っていかないという状況をもたらしてしまっているわけです。だから今、日本政府はどんどん借金を拡大していくべきなんです! そういう意味で消費増税は全く間違えているということなんですね。
森井 そもそも、「お金ってなんだろう」からスタートですよね。お金は無から生まれるとか、お金は誰かが借りたときに発生するとか、そういうお金の発行の当たり前の仕組みをまず知ってほしいですね。そして、お金がどう消えるか、ということも大切です。そのうえで、どこかから借りてこないと使うことができない家計と、通貨発行権のある国の財政というのは、全く違うものであると知ることもスタートだなと思います。
国債というのは、すごくこわがられていて、国の借金なんていわれているけれど、残高が少なければ少ないほどよく、残高ゼロを目的にするような家計の借金とは全く違う。先生のおっしゃるとおり、基本的には、増えていくのが健全で減っていくのは不健全であるということはとっても大切な認識ですよね。
お金を供給すること、これが国債を利用した政府の支出で、逆にお金を消すのが税金なんですね。ですから、お金を使うとなくなると思っている人が多いかもしれませんが今、世の中に巡っているお金は、政府がしっかり支出したからこそあるんですよね。
藤井 そうです。僕がみなさんにいちばん理解してほしいなと思うのは、ニュースなんかでよく「次世代につけ回ししたらあかん」と言っている話は、完全なウソ話だ、っていうことなんです。それは僕たちが生きている間にゼロにしろということですが、そんなことをしてはダメなんです。
森井 ダメですね。
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