2021年6月15日火曜日

森永康平 2021/06/15 日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか(bizSPA!フレッシュ) - Yahoo!ニュース

日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか(bizSPA!フレッシュ) - Yahoo!ニュース

日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか

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日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか

画像はイメージです

 膨らみ続ける社会保障費、そして新型コロナウイルス対応……。日本の借金は今過去最大を更新中だ。  世界でも突出して高いといわれる日本の借金。このままで国の財政は破綻しないのだろうか? 増え続ける借金はいったい誰が返すのだろうか? 経済アナリストの森永康平氏とともに、データとお金の知識で日本の今を考えてみよう。 ※本記事は書籍『誰も教えてくれないお金と経済のしくみ』(あさ出版)の一部再編集したものです

日本の借金は「1212兆4680億円」

 テレビや新聞で「国の借金(国債、借入金、政府短期証券を合計)が2020年12月末時点で1212兆4680億円となり、過去最大を更新。2020年8月1日時点の総人口が1億2333万人なので、国民1人当たり約983万円の借金を抱えている計算になる」などという話はよく目にします。  ただこの表現、計算上は間違ってはいませんが、少し不思議に思わないでしょうか? 商業高校を出ている方や、会社の経理部で働いている方、自営業やフリーランスの方で自分で帳簿をつけている方は特に強い違和感を覚えるかと思います。  違和感を覚えない人のために、ちょっと会計の話をしましょう。お金の流れを簿記の知識をもとに記帳していく場合、必ず次のルールに従って仕訳をしていきます。

会計の考え方にもとづいて国の借金を考える

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AさんがBさんから100円を借りてきた図(筆者作成)

 たとえば、AさんがBさんから100円を借りてきた場合、借入金という負債が100円増えるので貸方に100円が記入されますが、一方で口座にお金が振り込まれて預金という資産も100円増えるので、借方にも100円が記入されます。 預金100円/借入金100円  借りた側(Aさん)はこのように仕訳をします。これをBさん、つまり貸す側から見れば、貸し出したことで将来返済される貸付金という資産が発生し、一方で預金という資産が減りますから次のように仕訳をすることができます。 貸付金100円/預金100円 「急に簿記の話をしてどうしたんだ?」と思われるかもしれませんが、このような複式簿記という会計の考え方にもとづけば、誰かに資産が発生したら、どこかで負債が発生しているはずという当然のことに気付くのです。  それでは、「国の借金が」と国の負債の話をするのであれば、その一方で誰かの資産の話も出ないとおかしいと思いませんか? かなりかみ砕いていうならば、AさんがBさんから100円でアメを買ったら、Aさんはお財布から100円が減りますが、Bさんはお財布に100円が増えるとなります。当然ですよね。

日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか

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国債を買っている人のは誰なのか

 もう一度考えてみましょう。「日本の国の借金が1212兆4680億円。総人口が1億2333万人なので、国民1人あたり約983万円の借金を抱えている」というのは計算は合っていますが、表現として正しいのでしょうか?  国の借金は国債の発行残高を指すことが多いのですが、発行できたということは誰かが買ってくれたということです。つまり、国債を買っている人が誰だかわかれば、湧いてきた疑問を解消することができるかもしれません。  それでは、ここでクイズです。 【問題】2020年9月末時点における国債等(※)の発行残高のうち、日本銀行が保有している比率は何%ぐらいでしょうか? 1. 約10% 2. 約25% 3. 約45% ※「国庫短期証券」「国債・財投債」の合計。また、国債等は、一般政府(中央政府)のほか、公的金融機関(財政融資資金)の発行分を含む

誰が日本の国債を持っているのか?

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図A。日本銀行「2020年第3四半期の資金循環(速報)」のデータをもとに株式会社マチネが作成

 ちなみに、日本銀行は日本の中央銀行を指しますが、それ以外に国債を保有しているのは、民間銀行、保険会社、年金基金、家計、海外投資家などです。では、クイズの答えはどうでしょうか?  図Aは日本銀行が発表している「資金循環統計」のデータから作成した国債の保有者内訳を比率で表現したものです。これを見るとクイズの答えは「3の約45%」ということになります。  日本政府は日本銀行の株式の55%を保有しており、事実上、政府は日本銀行の親会社ということになります。連結決算の考え方からすれば、日本銀行の保有する国債(資産)は親会社(政府)の資産として考えられますし、そもそも日本銀行が政府の意思に反して保有する国債を投げ売ったりするのでしょうか?  このような話をすると海外投資家が一斉に売って手放すという人もいますが、全体の10%ちょっとの保有比率ですし、現状だと彼らが売ればすぐにその他の市場参加者が買うでしょう。

財政破綻するのは怖いけれど…

日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか

財務省「これからの日本のために財政を考える」を参考に作成。※2018年度までは決算、2019年度は補正予算、2020年度は第2次補正予算後による。2019年度・2020年度の計数は、「臨時・特例にかかる措置」に係る係数を含んだもの。簡略化のため、その他係数については捨象

 モノの値段は需要と供給が一致する点で決まります。よって財政破綻を避けるために税率を引上げて税収で賄うのではなく、国債を発行して賄おうとすると、国債の供給量が増えすぎて価値が暴落する。  結果的に日本円も急落(外貨に対して安くなる)し、輸入価格の上昇などからハイパーインフレになる。このようなロジックで消費増税の引き上げを正当化するのですが、2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による景気悪化に対応すべく、日本政府は過去最多の国債を発行しました。  税収を上回る歳出を「ワニの口が開いている」という表現をすることが多いのですが、2020年は国債発行が急増してアゴが外れて口が裂けてしまったことがわかります。それでは、日本円は暴落したのでしょうか? 日本ではハイパーインフレが起きてしまったのでしょうか?   少なくとも、2020年末時点では、4年ぶりの円高水準で1ドル=103円台でしたし、消費者物価指数は前年同月比でマイナスを続けており、ハイパーインフレどころかデフレへの再突入を懸念したほうがいい状態です。


日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか

 将来世代にツケを残してはいけないといって、国が国債を発行してお金を国民にいき渡らすことを控え、公共投資を減らしてきた結果、新型コロナウイルスの感染拡大に襲われた2020年は医療資源が逼迫してコロナで亡くなる人や、景気悪化による経済苦で自殺をした人が増えました。  特に後者では若者や女性が目立っています。将来世代にツケを残してはいけないという政策をとった結果、現役世代が減ってしまい、そもそも将来世代が残らないというチグハグな政策になってはいないでしょうか?  ここでは財務省や日本銀行のデータをもとに事実を書いてきましたが、これを読んでみなさんはどのように感じたでしょうか?  お金や数字に興味を持つことは、日本のことを考えることでもある。私はそう思っています。「いままでとられてきた政策が正しかったのかどうか?」そんふうに1人ひとりが正しいお金の知識と教養を身につけて考えることが、実は日本という国家をより良いものに導いていく一歩となるのかもしれません。 <TEXT/株式会社マネネCEO・経済アナリスト 森永康平






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