中央銀行券の債務性と政府紙幣の特質に関する研究 - 経済経営研究所
小栗誠治 著 · 2010 · 被引用数: 1 — 不換銀行券論争のポイントについては、泉正樹( 2004)を. 参照のこと。 ... Berglund, P. (2004), " Commodity versus Fiat Money, A Unified View" In Hummel,. W.F., Money: What it is How it works.
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https://mokuroku.biwako.shiga-u.ac.jp/WP/No126.pdf
13.
7.商品貨幣と不換紙幣の統一的把握
以上、現代の中央銀行が発行する不換銀行券に関して、これの債務性を巡る問題について検討してきた。貨幣が金貨、銀貨等の商品貨幣から金貨、銀貨等に兌換できない不換紙幣へと移行したのは20世紀中葉であるが、商品貨幣と不換紙幣は、貨幣としては全く異なるものであると一般に考えられている。しかし両者は多くの人が考えるようにほんとうに異なるものであろうか。商品貨幣と不換紙幣を同一のフレームワークの中で統一的に説明することはできないだろうか。バーグルンドによればこれは可能であるという。以下、彼の見解を紹介し、検討しよう23。 国家は租税の支払いをどんな資産で受け入れるかを決定し、宣言する。同時に、国家は租税の支払いのための資産を必要な規模だけ国家の債務として発行する。国家の債務を資産として保有する所持者は国家に対し金融的請求権を持
23 以下は、Berglund, P.(2004)による。
つことになる。ここでいう国家は、政府のほか中央銀行も含まれたものである。金融的請求権は貨幣として知られているトークン(token)の形で存在する。トークンは、金貨、銀貨等の貴金属貨幣のように素材価値を有することもあるし、単なる紙の証書のように素材価値を有しないものもある。前者は商品貨幣、後者は不換紙幣である。 国家はトークンの額面価値を定めるとともに、租税の支払いにおいてトークンを額面価値で受け入れる。トークンの額面価値と素材価値の差額は通常プラスであり、これはシーニョレッジとして知られている。トークンの製造が国家の管理の下にあり、その製造量が適切に制限されている限り、プラスのシーニョレッジが存在するであろう。不換紙幣の場合は、そのシーニョレッジの規模は大きいが、商品貨幣の場合は、その規模は小さく、マイナスの場合もありうる。シーニョレッジがマイナスということは、貨幣としての価値よりも、商品としての価値の方が高いということである。もし、シーニョレッジのマイナスがあまりに大きい場合は、公衆はトークンを保蔵するかあるいはそれを物質的素材そのものとして使い、貨幣として使うことを止めてしまうであろう。 トークンの素材価値そのものは、実物資産であり対応する負債をもたない。そこで、トークンの素材価値に注目した場合、実物資産の実際の所有者は誰かという問題が出てくる。結論を先に述べれば、会計学的には、この実物資産は国家の貸し方に記入すべきだということになる。上述したように租税の支払いにトークンを受け取ると宣言したことによって、国家は自動的にトークンの額面価値に等しい債務を有している。もし国家がそれだけの金額の債務を負っているならば、トークンの所持者は国家に対し同額の請求権を持っていなければならない。しかし、トークンの所持者は国家に対する金融的請求権と実物資産の物質的素材に対する所有権の 2 つを同時に持つことはできない。つまり、所持者は、トークンに対する財産的な権利を、債権として持つと同時に、物権として持つことはできない。もしそうすれば、財産権の明らかな二重計算になるからである。従って、トークンの素材価値である実物資産はトークンの所持者の資産として記帳することはできない。国家は、トークンを造幣する際、所有する金・銀地金等の実物資産を使用するので、国家のバランスシート上は実物資産の金・銀地金等が減少する一方、金貨・銀貨等の金融債務が増加する。つまり、トークンを発行した場合、それに伴い実物資産はマイナスとなるので、この実物資産の価値の減少は国家のバランスシートの貸し方(負債サイド)に記帳することになる。他方、発行済みの金貨・銀貨等のトークンが市中から国家へ還流してきた場合、それらの貨幣は国家の金庫の中ではもはや貨幣ではなく、その素材価値をもつ単なる実物資産にすぎない。つまり、金貨・銀貨等のトークンが国家に還流した後においては、金貨・銀貨等の金融債務が減少する一方、実物資産
が増加する。従ってこの場合、実物資産は国家のバランスシートの借り方(資産サイド)に記帳されることになる。 トークンが経済の中で流通し、その所持者が転々と変わっても、トークンは所持者の国家に対する請求権であることに代わりはない。つまり、トークンが所持者の手元に存在する限り、国家とトークン所持者の間の債権、債務関係は継続するのである。このように国家に対する請求権はトークンと固く結びついている。そこでこの結びつきを消滅させるため、トークンの所持者がそれを貨幣として使用することを放棄し、溶解した場合を考えることにしよう24。この場合、貨幣としてのトークンは溶解されてしまうので、所持者の請求権は消滅し、したがって国家の債務も消滅する。つまり、トークンの貨幣としての債権、債務関係はなくなるのである。トークンを溶解したあとに残るのは貴金属の塊であり、その素材価値は所持人の所有物となるのである。トークンを溶解することは、所持者の観点から見れば、金融資産を実物資産に変換することであり、国家の観点から見れば、金融債務を消滅させるとともに、トークンが国家に還流すれば獲得できたところの実物資産を取り戻す可能性を排除してしまうことである。従って、会計学的に整合性をとるための論理的方法は、たとえ所持者がトークンを所有していたとしても、バランスシート上ではトークンの素材価値を国家のバランスシートの貸し方に記入することである。国家は、トークンが溶解されずに国家の債務として存在する限り、素材価値に対する権利を保持するのである。 まとめれば、トークンを溶解すれば、①金融資産・負債関係を消滅させるとともに、②実物資産を国家のバランスシートから所持者のバランスシートに移転することになるのである。国家は、実物資産を失うが、また負債も失う。所持者は、実物資産を獲得するが、金融資産を失う。トークンの溶解に伴う所持者のネットの損益は、額面価値と素材価値の差であるシーニョレッジの規模とそれがプラスかマイナスかに依存する。 現代の不換銀行券は素材価値がほとんどないので、不換銀行券は上記の議論において実物資産を考慮しない場合に相当する。ここで見てきたバーグルンドによるトークンの議論は、これまで全く異なるものとみられてきた商品貨幣と不換銀行券を統一的視点から把握することを可能にするものである。今後より一層の検討、深化が必要とはいうものの、貨幣の本質を解明する上で有益な示唆を与えてくれるものである。
24 ケインズはかつて、インドの通貨ルピーを「銀に印刷された紙幣」(Keynes, J.M.(1913)訳p.28.)と定義している。これはルピーの所持者が、それを貨幣としてもあるいは銀としても使用できることを意味している(ただし、両方の使い方を同時に行うことはできない)。
Berglund, P. (2004), "Commodity versus Fiat Money, A Unified View" In Hummel, W.F., Money: What it is How it works. http://wfhummel.cnchost.com/unifiedview.html.
http://wfhummel.net/unifiedview.html
コモディティマネーとフィアットマネーの統一見解
コモディティマネー
vs.フィアットマネー
統一見解
コモディティマネーと不換紙幣は、一般的には全く異なる種類のお金として捉えられている。 商品貨幣から不換紙幣への移行は、20世紀半ばに国家が紙幣の金裏付けを廃止したときに起こりました。 しかし、この2つは本当に人々が考えているほど異なっているのだろうか? 以下では、スウェーデンの経済学者であるパー・ベルグルンドの分析をもとに、2種類の貨幣が国家の貨幣理論に基づいた1つの枠組みに収まることを示す。
国家への請求権としての貨幣
国は、税金を納めるためにどのような資産を受け入れるかを宣言すると、その資産の残高に相当する負債を負うことになります。 同時に、この宣言によって、資産の保有者が国家に対して金銭的な請求権を持つことになる。 これらの請求権は、貨幣として知られるトークンとして存在する。 トークンには、貴金属コインのように物質的な価値がある場合と、本質的な価値を持たない単なる紙の証書の場合がある。 前者は商品貨幣、後者は不換紙幣と呼ばれる。
シニョリッジの格差
国は、トークンの額面を設定し、その額面で税金の支払いを受け付けます。 トークンの額面と物質的な価値の差は通常は正であり、シニョリッジギャップと呼ばれます。 正のギャップが存在するのは、トークンの生産が国家の管理下に置かれ、数量が制限されている場合に限られます。 不換紙幣の場合、このギャップは大きくなります。 商品貨幣の場合、ギャップは小さく、マイナスになることもあります。 ギャップがマイナスになるということは、トークンが貨幣としてよりも商品としての価値が高いことを意味します。 ギャップがマイナスになりすぎると、一般の人々はトークンを買いだめしたり、物質的な用途に変換したりして、お金としての役割を終えることになります。
コモディティマネーの物質的価値について
トークンの物質的価値とは、対応する負債のない実物資産のことです。 重要な問題は、その実物資産を実際に所有しているのは誰かということです。 意外なことに、それは国に帰属すると考えられています。 税金を支払うためにトークンを受け取ることに同意することで、国は自動的にその額面に等しい負債を負うことになります。 しかし、国がその額の責任を負っているのであれば、持参人は国に対して同額の請求権を持っているはずです。 しかし、国に対する債権と、実物資産の物質的使用に対する債権を同時に持つことはできません。 それは明らかに二重計上である。
実物資産と金融資産
国家に対する請求権は、コインなどの形あるものと密接に結びついている。 誰が誰に何を借りているかの記録は残っていないので、請求権を行使する方法はただ一つ、コインを引き渡すことです。 代わりにコインを溶かしてしまえば、請求権はなくなり、国の責任もなくなります。 残るのは金属の塊であり、その物質的価値は明らかに所持者に帰属する。 溶かすことで、所持者の視点では金融資産が実物資産に変わります。 国から見れば、融解は金融負債を帳消しにするが、実物資産を回収する見込みはなくなる。
会計上のジレンマの解決
会計上のジレンマを解決する論理的な方法は、たとえトークンの所有者が物理的に所有していたとしても、トークンの物質的価値を国の貸借対照表に計上することです。 トークンが国家の負債として存在する限り、国家はその物質的価値の所有権を保持しています。 ケインズはかつてインドの通貨ルピーを「銀で印刷された紙幣」と定義しましたが、これはルピーの保有者がルピーをお金として使うか、銀として使うかのどちらかであって、両方ではないことを意味しています。
溶解には2つの要素があります。1)金融資産・負債関係の解消、(2)実物資産の国家のバランスシートから所有者への移転、である。 国は実物資産を失いますが、同時に負債も失います。 負担者は実物資産を得るが、金融債権を失う。 正味の損益は、額面と実質的な価値との間のシニョリッジのギャップの大きさと符号による。
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