ソーントン・紙券信用論
著者
渡辺佐平, 杉本俊朗 共訳
出版者
実業之日本社
出版年月日
昭和23
請求記号
337.4-Th8ウ
書誌ID(国立国会図書館オンラインへのリンク)
000000673221
DOI
10.11501/1061642
公開範囲
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
巻号
↓ ソーントン・紙券信用論 [188]
・ 標題
・ 目次
・ 解説/1
・ 序文/37
・ 第一章 商業信用について それから起る紙券信用について 商業資本について/41
・ 第二章 物々交換による取引について 貨幣について 爲替手形及び約束手形について 割引かれる物としての爲替手形と約束手形について 空手形もしくは融通手形について/49
・ 第三章 流通する紙券について 銀行券について 流通する紙券として考察した場合の手形について 各種流通手段の流通における速度の相違及び同一種の流通手段が時を異にする場合に現はす流通速度の相違 A・スミス博士の誤謬 流通速度の右の相違の結果として一國の支拂ひを完濟するために要する量の相違すること 一七九三年の事件に徴して得られた例證 紙券信用を全然廢止し得るといふ假定に含まれる謬論/61
・ 第四章 英蘭銀行に關するスミス博士の考察 その制度の性質 同行の銀行券を決して甚しく減少せしめない理由 ギニー貨を涸渇せしめたことに對する同行の責任 正貨支拂の停止は銀行券の過大な發行に由るものではない また過大な貸出に由るものでもない 議會の干渉の當否/79
・ 第五章 貿易の差額について 爲替相場について 不利な爲替相場が金を國外に持出させる傾向を有すること 國内に金が復歸する見込について 輸出された金が大陸において用ひられるとおぼしきその使用法について 英蘭銀行の正貨支拂ひを停止せしめた法律を更新した理由/131
・ 第六章 現實に窮迫が起つた場合に金を貯備し得ると想像することの誤謬 英蘭銀行の理事たちが前以て適當な金準備を備へて置かなかつた廉を以て非難されねばならぬとの推定をば承認し得ない理由/158
・ 第七章 地方銀行について その便益と不利益/167
・ 第八章 銀行券の過大な發行が造幣價格を上廻る金の市場價格の超過分を生ぜしめる傾向について その過大な發行がこの超過分を作りだす方法つまり財貨の價格や爲替相場やに對する作用によることについて 過剩紙券の問題についてのA・スミス博士の誤謬 英蘭銀行券の量についての制限が王國内のあらゆる紙券の量を制限し、その價値を支えるのに役立つ、その樣態について/201
・ 第九章 地方における總べての紙券のみか英蘭銀行の紙券についても、その價値が同銀行券の量に正確に比例して調整されるのを不可能ならしめる諸事情について/228
・ 第十章 前二章に述べた學理に對する反對論に答ふ 英蘭銀行がその紙券の量に制限を置くのを必要ならしめる諸事情について 高利取締の法律の効果 英蘭銀行の貸付を制限するのを必要とすることに關して、資本が外國へ移動する場合に鑑みて得られた證明/251
・ 第十一章 紙券信用が諸商品の價格に及ぼす影響について モンテスキュー及びヒュームの或る章句についての考察 結語/291
・ 附録 フランシス・ホーナアの主書批評/315
経済学史学会関東部会 共通論題「ソーントン『紙券信用論』200年と貨幣経済学」2005.3.19
ソーントンとバジョットの中央銀行論
大黒弘慈
このように見てくると、ソーントンは発券調整に関する直接的な分析だけでなく、その背後に、準備金を通したイングランド銀行の裁量的な調整ないし管理の可能性を潜在的に探ろうとしていたとも思えるのである。
1825年の最初の循環性恐慌以前の制度的にまだ未熟な時代、確固たる制度によって保証される定型的な産業循環と金融政策をまだ知りうる以前に、ソーントンは、不測の事態に対処しうる市場を調整する金融制度を、準備金のうちに見出そうとしていたのかもしれない。しかし、準備金が諸種の外的な衝撃を吸収し、衝撃の二次的波及を最小限に食い止める「クッション」(ヒックス)の役割を果たすということは、逆にいえば、準備金をかなめに据える出力系が入力系ほど弾力的ではないということである。こうした目的―手段系列の跛行性を認識していたからこそまた、ヒックスは「自動的に円滑に機能を果たすクッション」はなく、「せいぜい適切な時には使い、不適切な時には使わないという勇気と技量をもつ人々」(『貨幣理論』257-258)の存在が必要だと、付け加えることを忘れなかったのだとはいえないか。ヒックスがソーントンに即して語った、この準備金をめぐる金融政策主体の分析は、「愚鈍性」「活力ある中庸」(アリストテレス)を強調するバジョットにこそ似つかわしいというべきかもしれない。しかし「ソーントンの教訓」の明晰さによって、バジョットの準備金分析の複雑さを決して犠牲にしてはならず、むしろソーントンはそれを未熟な形で先取りしていたと評するべきだろう。むしろバジョットも警鐘を鳴らすように、準備金をフラットに捉え、すべてを市場の自動作用に任せる自由銀行主義(通貨主義)の陥穽をこそ注意すべきであろう。
まとめ -市場と生産の相互作用-
ソーントンは、流通必要量を満たさない間は、短期的な信用増加が物価騰貴をもたらすことなく、実物的拡張を促進することを指摘する(97-105)とともに(通貨主義批判)、借り手の「節度と自制」をこえた過剰発行の危険性にも警鐘を鳴らす(銀行主義批判)。割引率(高金利法により当時は5%以下)が正常利潤率を下回るかぎり、借入需要が止まないことによって、いかに実需を反映した信用とはいえ、その自動的拡張は内在的歯止めをもたないからである。もとより機械的ルールに頼るわけにはいかないが、かといってあらゆる時に銀行券量を思うように制限できるわけでもない(289-290)。というのも、貸付額の変化と紙券量の変化とはつねに食い違いが生じてしまうからだが、これに対してソーントンは、ある程度の変動を認めたうえでの規定金額に限定した上で、調節を「週ごとに」行なうことこそが有効だという。そうしてこそ、由々しき事態が起こる前に、「不可避の不完全さ」を修正する機会が提供されるからである。管理が全面的ではなく、裁量的でなければならない所以であろう。
書名等: 貨幣と信用 著者等: 大黒弘慈/著 出版: 東京大学出版会;2000 形態: 22cm;287p |
西洋経済古書収集ーソーントン,『紙券信用論』
THORNTON, H., An Enquiry into the Nature and Effects of the Paper Money of Great Britain , London, Printed for J. Hatchard, Bookseller to the Queen, 1802, 8vo., pp.xvii+320
H. ソーントン『紙券信用論』初版。
著者は、イギリスの銀行家。英蘭銀行の金兌換停止や地金に関する各種委員会に参加した。この本で穀物の不作による突発的・一時的金流出に対しては、英欄銀行は信用を拡張すべきとし、景気過熱による長期的な金流出に対しては信用収縮すべきと説いた。
「『紙券信用論』は表面上は時局的な冊子にみえても、実ははるかにそれを越えたものである。・・・この時局性と仮定を取り除けばこの本は永久的価値をもつ作品として生き残る。」(ヒックス『貨幣理論』p.257)
現代の多くの経済学者から優れた理論家として賞賛されている。ハイエクしかり、ヒックスしかり。ヴァイナー、ロバートソン、シュンペーター、ブローグそして近くは若田部昌澄(『経済学者の闘い』)・・と名前のリストをいくらでも続けられよう。
ここでは、最初の2人の評価を手短に引いておこう。
「同著は、貨幣論における最も注目すべき成果の一つで、いまなお大いに注目されるべきものである。」(ハイエク全集 邦訳第一巻P.116)
流動性選好説、賃金の硬直性等「ケインズの理論構造における重要な要素はすべてソーントンの中にその対応物をもっている。」(ヒックス上掲書p.248-249)
ソーントンの経歴を見て思いだすのは、第13代日銀総裁であった深井英五のことである。同様に実務家出身であり、自分の頭で物事を深く考える能力を持っていた。群を抜いた見識を持っており、官学出ではないが挙げられて総裁まで登りつめている。『通貨調整論』なる本も著している。若い頃は宗教活動に熱心だったこともソーントンに似ている。
米国の書店より購入。書名を空押しした現代カーフ装。Ex-library、シカゴ大学旧蔵で、標題紙に大学名が目打ちしてある。
(H18.2.26記)
返信削除永続的識別子
info:ndljp/pid/1061642
タイトル
ソーントン・紙券信用論
著者
渡辺佐平, 杉本俊朗 共訳
出版者
実業之日本社
出版年月日
昭和23
請求記号
337.4-Th8ウ
書誌ID(国立国会図書館オンラインへのリンク)
000000673221
DOI
10.11501/1061642
公開範囲
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
巻号
↓ ソーントン・紙券信用論 [188]
・ 標題
・ 目次
・ 解説/1
・ 序文/37
・ 第一章 商業信用について それから起る紙券信用について 商業資本について/41
・ 第二章 物々交換による取引について 貨幣について 爲替手形及び約束手形について 割引かれる物としての爲替手形と約束手形について 空手形もしくは融通手形について/49
・ 第三章 流通する紙券について 銀行券について 流通する紙券として考察した場合の手形について 各種流通手段の流通における速度の相違及び同一種の流通手段が時を異にする場合に現はす流通速度の相違 A・スミス博士の誤謬 流通速度の右の相違の結果として一國の支拂ひを完濟するために要する量の相違すること 一七九三年の事件に徴して得られた例證 紙券信用を全然廢止し得るといふ假定に含まれる謬論/61
・ 第四章 英蘭銀行に關するスミス博士の考察 その制度の性質 同行の銀行券を決して甚しく減少せしめない理由 ギニー貨を涸渇せしめたことに對する同行の責任 正貨支拂の停止は銀行券の過大な發行に由るものではない また過大な貸出に由るものでもない 議會の干渉の當否/79
・ 第五章 貿易の差額について 爲替相場について 不利な爲替相場が金を國外に持出させる傾向を有すること 國内に金が復歸する見込について 輸出された金が大陸において用ひられるとおぼしきその使用法について 英蘭銀行の正貨支拂ひを停止せしめた法律を更新した理由/131
・ 第六章 現實に窮迫が起つた場合に金を貯備し得ると想像することの誤謬 英蘭銀行の理事たちが前以て適當な金準備を備へて置かなかつた廉を以て非難されねばならぬとの推定をば承認し得ない理由/158
・ 第七章 地方銀行について その便益と不利益/167
・ 第八章 銀行券の過大な發行が造幣價格を上廻る金の市場價格の超過分を生ぜしめる傾向について その過大な發行がこの超過分を作りだす方法つまり財貨の價格や爲替相場やに對する作用によることについて 過剩紙券の問題についてのA・スミス博士の誤謬 英蘭銀行券の量についての制限が王國内のあらゆる紙券の量を制限し、その價値を支えるのに役立つ、その樣態について/201
・ 第九章 地方における總べての紙券のみか英蘭銀行の紙券についても、その價値が同銀行券の量に正確に比例して調整されるのを不可能ならしめる諸事情について/228
・ 第十章 前二章に述べた學理に對する反對論に答ふ 英蘭銀行がその紙券の量に制限を置くのを必要ならしめる諸事情について 高利取締の法律の効果 英蘭銀行の貸付を制限するのを必要とすることに關して、資本が外國へ移動する場合に鑑みて得られた證明/251
・ 第十一章 紙券信用が諸商品の價格に及ぼす影響について モンテスキュー及びヒュームの或る章句についての考察 結語/291
・ 附録 フランシス・ホーナアの主書批評/315
ヒックスの貨幣観はこうだ。
返信削除現代では貨幣は保蔵機能を担っていて、
ストックを形成する。
サービス業勤務の労働者も含む財やサービスはフローに相当する。
これらは本来なら逆であるべきだ。
ISLM曲線は本来ならあってはならない社会の図解だ。
交換機能が貨幣の用途であるべきだ。
このようにヒックスは貨幣について、MMTと近い理解に達していた。しかしはヒックスの間違いは金属主義を含む商品貨幣論からの信用貨幣論への移行は社会の進歩によると考えている点だ。
クナップ、イネスを真剣に受け止めたケインズとそこが違う。
返信削除米山 隆一
@RyuichiYoneyama
こういうクレージーなことを言う人がいますが、国債発行=財政赤字は法律上も経済上もどこからどう見ても「国法人」の、国債購入者に対する債務=借金です。なお、そもそも日本は昭和39年まで均衡財政で国債発行はありませんので、「国債を返済したら世の中からお金が消える」は明白に誤りです。
2021/08/12 16:59
https://twitter.com/ryuichiyoneyama/status/1425728743276912644?s=21
板橋さとし㈱リム・ランナーズ
@satosiTS
@RyuichiYoneyama >昭和39年まで均衡財政で国債発行はありません
いやいや。
いやいやいやいや。
いやいやいやいやいやいやいや。
昭和27年以降ずっと発行してますよ。
一般会計に計上されていないので、見落としているだけです。
財政法4条の通り、投資的経費は公債で運営しないと筋が通りませんから。
2021/08/12 17:57
https://twitter.com/satosits/status/1425743350158663682?s=21
iPhoneから送信
返信削除長谷川羽衣子 HASEGAWA Uiko
@uikohasegawa
ありがとうございます。米山さんの定義(国債を預金に含めない)でも、おカネは消えます。表に示した通り、A(民間非金融)から徴税してB(民間銀行)の国債を償還すると、おカネ(預金)は消えます。 pic.twitter.com/DcHvkvoNg6
2021/08/12 20:29
https://twitter.com/uikohasegawa/status/1425781359839043587?s=21
iPhoneから送信
返信削除cargo💴💶💵🌹🐾
@cargojp
なるほど、ヤフコメで多くの人が「国の借金でも国民の借金でもない」とつっこみを入れているんですね。
そんななか財務省の御用学者であられる土居丈郎先生だけが「借金は借金だ!言葉尻を変えても借金残高は減らない!」とひとり気炎を吐き獅子奮迅の様相 笑 pic.twitter.com/2YqvAwOz0x
2021/08/11 13:23
https://twitter.com/cargojp/status/1425311967372136452?s=21
iPhoneから送信
news.yahoo.co.jp/article
12
参考になった15211
土居丈朗 15時間前
慶鷹義塾大学経済学部教授
報告
わが国の財政制度で国と地方と言われることを踏
まえると、「国の借金」と言うのは、地方自治体
全体の債務である「地方の借金」と区別するため
の用語法。「地方の借金」の対語として「中央の
借金」(中央政府の借金あるいは中央省庁の借
金)と言って理解できるならまだしも、「中央の
借金」は人口に臆灸していない。さりとて、
府の借金」といえども、GDPの統計では、政府
は中央だけでなく地方も「政府」と呼ぶ。本質的
でないところで、言葉遣いをあげつらっても、借
金残高が減るわけではない。
「政
参考になった3432
国が支出すべきものを地方が肩代わりしている
返信削除その結果の赤字だ
ふるさと納税はさらに税収を奪い合わせる