https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhg/65/5/65_397/_pdf/-char/ja
進化経済地理学とは何か 野尻論考 2013
は じ め にⅡ 進化経済地理学の生成と展開⑴ ルーティン概念と進化経済地理学の生成⑵ 進化経済地理学と制度学派経済地理学・空間経済学との違い⑶ 経路依存性とロックイン⑷ クラスターと集積野尻 亘Ⅲ 生物進化理論・進化経済学との方法論的関係Ⅳ 複雑系理論の応用⑴ 進化経済地理学における創発性⑵ 複雑系適応システムの組織とダイナミクス⑶ 動態的生態系における回復力Ⅴ 結 び⑸ 進化経済地理学とネットワークキーワード:進化経済地理学・経路依存性・一般ダーウィニズム・複雑系・ルーティン
さらに経済地理学者のヘイターは,進化経済地理学が「異端の制度主義」にもとづくものであると主張している。「異端の制度主義」は新制度学派経済学のコースやウイリアムソンによる取引費用を重視する分析とは異なる。そこでは,①「埋め込み」のもとで,経済的・非経済的要因が共生的に統合され,お互いの関係のもとで理解される。②進化的原理として,この共生が時間を通して,経路依存的に変化する。③差異性の原理として,埋め込まれた社会経済の進化は,地域分化のもと52)で理解されるという。さらにヘイターは,進化経済地理学は,政治・社会・経済の制度の見地から市場経済の首尾一貫した分析を行うものであるとし,とりわけ市場・企業と市場関係以外の諸制度との相互作用が歴史的に空間的にどのように進化をするか明らかにするという。ヘイターは21世紀半ばになると,情報通信産業に代わって,環境経済が発展の中心なると予想し,進化経済地理学はそのような分析に不可欠であると主張している53)。 なお,近年の生物学の発展によって,ダーウィンの進化論とは異なる自己組織的な創発的進化が54)唱えられるようになった。ダーウィニズムは,すでに生まれた生命秩序が環境変化のなかで,徐々に遺伝子の変異と選択を通して進化していくものである。これに対して,近年の進化経済学では,むしろ新奇な生命の創発的発生のしくみについて,収穫逓増と正のフィードバック機構を通して, 30
52) Hayter, R., ‘Economic geography as dissenting
institutionalism : the embeddedness, evolution and differentiation of regions’, Geografiska Annaler Ser. B, 86(2), 2004, pp. 1―21.
53) Hayter, R., 'Environmental economic geography', Geography Compass, 2, 2008, pp. 831―850. 54)
0 件のコメント:
コメントを投稿