件名: 海洋放出をとめるには(代替案あります)

東京電力福島第一原発の汚染水タンク。2018年撮影。
こんにちは。
14日に配信したメールをたくさんの方が読んでくださり、ご寄付をくださったり、お返事をくださったり、ありがとうございました。
私と同じように怒っている皆さまが、すぐにアクションを起こしてくださったことが、とても心強く感じました。
今日は、汚染水の環境や人体への潜在的な影響と、具体的な代替案について、グリーンピースが把握している事実を、皆さんにきちんとお伝えしなくてはと思い、もう一度メールします。
「処理水=トリチウム水」ではない
まず、政府は「処理水」に含まれているのはあたかもトリチウムだけであるかのように喧伝していますが、これは事実ではありません。
ALPS(多核種除去設備)ではトリチウムだけでなく、炭素14も取り除けません。 また、取り除くはずだったのに残ってしまっている放射性物質には、ストロンチウム90、セシウム137、セシウム134、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム106、ヨウ素129、プルトニウムなども含まれています。
たとえばストロンチウム90はカルシウムに化学的性質が似ていて、人の体内では骨や骨髄に蓄積し、発がんの危険性があります。
炭素はすべての生きものの基本構成要素なので、炭素14は体内のあらゆる場所で細胞DNAを損傷する可能性も。
これらを含んだ汚染水が海に放出されれば、放射性物質は海水に紛れてそれぞれ世界中に拡散し、生態系の中で生態濃縮が起こります。マグロやキンメダイに水銀が濃縮されるように、のちの世代にわたって汚染が続くのです。
たとえばセシウム134のように半減期が2.1年と比較的短い放射性物質もありますが、炭素14の半減期は5,730年です。
福島で農業や漁業、流通に携わってきた方々は、この10年、苦労に苦労を重ねながら、復興を信じて努力を積み重ねてこられました。
放出が始まれば完了まで数十年かかりますが、そのあとも、汚染は数千年以上にわたって海の中で続くのです。
皆さんのこれまでの努力はどうなるのでしょうか。

海上から見た東電福島第一原発。2016年撮影。
放射能で汚染された海でとれた海産物を口にするのは、わたしたちだけでなく、子どもや孫やもっともっと先の世代にも及ぶのです。
実現可能な代替案はすでに提示しています
グリーンピースは、海外で運用されているより高精度な処理設備を導入して放射性物質を限界まで取り除いたうえで、現在のタンクより大型で堅牢なタンクに移し、残りの放射線値が一定以下に下がるまで当面のあいだ保管し、その間に放射性物質を除去する技術を開発するという解決策を提案しています。
グリーンピースだけでなく、他の団体や個人の皆さんも、それぞれに実現可能な代替案を提示しています。
「保管用地が足りなくなる」という海洋放出の理由も事実に反しています。
東電は先週、汚染水タンクの増設を表明しています。
汚染土を保管している場所を汚染水タンクの用地として利用することもできますし、用地が足りないなら土地を提供すると名乗り出ておられる地元の方もいらっしゃいます。
「海洋放出」決定の理由
今回の決定は、各関係者が平等にじゅうぶんに議論を重ねて導き出した結論ではなく、実際の議論の過程も、海洋放出で影響を受ける方々の意見も無視し、最も安易で安価に原発事故をなかったことにできる方法として決められたのだと思います。
こんなことを許してはいけないのです。
国連人権高等弁務官事務所は、4月15日発表の声明文で「環境と人権に大きな危険を及ぼすものであり、汚染水を太平洋に放出するという決定はいかなるものであっても容認できる解決策ではない」としています。
グリーンピースは、これからも、できる限りの手段を尽くして、汚染水の自然界への放出をくいとめるための行動を続けます。
独立した調査による科学的根拠に基づいたグリーンピースの活動を支えているのは、個人の皆さまのご寄付です。
どうか、あなたのご寄付で、この活動を応援してください。

グリーンピース・ジャパン
気候変動・エネルギー担当
鈴木かずえ
汚染水についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
グリーンピース報告書『東電福島第一原発 汚染水の危機2020』
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。


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