エレン・ブラウン女史が語る、「MMT実証国」の日本に消費増税が不要な理由(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース
──政府がお金を刷ればよいわけですね。もう1つ大事なのは、お金が誰によって、どのように創られているかを知ることです。流通しているお金の95%以上を民間銀行が創っています。銀行にお金を借りると、私たちの銀行口座に数字が書き込まれますよね、それが生まれたお金なのです。銀行が大金を持っているわけではなく、数字を書き込むだけです。それでお金が生まれます。
つまり銀行は、マジックのように無から有を生み出しています。銀行はこのようなマジックを行ってよいと、国家によって許可されているわけです。お金を創るのはもともと国家の仕事ですが、現代の多くの国では民間銀行に任されています。借りたお金には利子が付きますが、利子の分のお金は創られていません。そこで現在、流通しているお金の中から利子を払わなくてはなりません。つまり世の中では常にお金が不足しているので、競争が生まれます。
──利子が諸悪の根源ですか。
そうはいいません。利子や複利は5000年前のシュメール文明の時代から存在しています。当時は年利30%でしたが、ジブリという救済処置がとられました。たとえば支配者が替わると、それまでの借金を返さなくてよいとされます。当時の貸主は神殿(神)や支配者でしたから、そのような救済ができました。現代では民間銀行から借金するので、救済してもらえないわけです。
● アベノミクスは 成功しているのか
──ところで、現在までのアベノミクスをどう評価されますか。
第一の矢である金融緩和策は成功しましたね。第二の矢である財政出動は不十分でしょう。もっとお金を消費者のポケットに入れてあげる必要があります。お金を使う人がもっと増えないと、第三の矢である企業活動にも活気が生まれないでしょう。
──どうしたら消費者のポケットにお金を入れることができるのでしょう。
日本はほぼ完全雇用なので、仕事を増やすために政府のお金を使う必要はありません。そうなるとお金をつぎ込むのは、社会保障や幼児教育・大学教育の無料化、女性が働きやすい環境をつくることなどになるでしょう。投資してもすぐに利益の返ってこない分野にお金を使うべきです。
エレン・ブラウン女史が語る、「MMT実証国」の日本に消費増税が不要な理由(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース
● ユニバーサル・ベーシック・ インカムの有効性──日本銀行は株式や投信を購入して株式市場を支えていますが。
それも意味があるでしょう。株式市場が活性化するのは、見た目も良いですし。でも投資家にプラスになるだけで、ビジネスに刺激を与えるには至らないと思います。ビジネスに影響を与えるには、消費者にお金を与えることです。そうすればお金を使う人が増え、生産も活発になり、企業も研究開発などに熱心になるでしょう。
とにかく普通の人々のポケットにお金を入れることが大切です。お金持ちにお金を与えても、消費が増えることはないでしょう。
──具体的な政策としては何が考えられますか。
ユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障制度)も1つの選択肢です。
──民主党の大統領候補で、最近人気が出ているアンドリュー・ヤン氏の「自由の分配(Freedom Dividend)」の考え方ですね。米国の18歳から64歳の全ての国民に毎月1000ドルの配当を与えるという大胆な政策なので驚きました。日本人から見ると、働かないでお金をもらえると、人々が怠け者になるのではないかと危惧するのですが。
そんなことはないと思います。例えばお金持ちは、ベーシック・インカムを受け取っている状態ではないでしょうか? 働かなくても配当金とか利子で生活できるわけです。だからといって、彼らが怠け者になっているでしょうか? 今は一日中働いて疲れ果て、家に帰ったらビールを一杯飲んで一息つき、テレビを見るような人が多いと思いますが、もっと人生を楽しみ、やりたいことができるようになるので、社会の効率も高まるのではないでしょうか。
──なるほど。
世界中でベーシック・インカムの実験が行われていますが、アフリカやインドの例を見ると、前向きな効果があります。これまでお金を見たことがないような女性たちにベーシック・インカムを与えると、多くの女性は子どもたちや自分の教育、起業などにお金を使うという結果が出ています。
──安倍政権は、リーマンショックのような危機が訪れない限り、10月から消費税を10%に引き上げる方針です。これはベーシック・インカムとは正反対の政策に思えます。いかがですか。
中央銀行を民間企業が所有するようなお金の仕組みの下では、ほぼ10年ごとに金融危機が発生します。そろそろリーマンショックを超える巨大な金融危機が訪れるころです。
それはともかく日本の場合、英「フィナンシャル・タイムズ」紙が指摘するように、安倍政権は右手で街に出回るお金の量を増やし、左手で減らしているようです。
消費税を10%にするとデフレを生むことになります。むしろ金融取引税(金融機関による過度の投機が行われないように、投機的な金融取引に課税するもの。すでに多くの国で実施)を0.1%にした方が効果的だと思います。
著者紹介
米国ロサンゼルス出身の作家、司法弁護士、社会活動家。公共銀行制度研究所の創始者であり会長(http://www.publicbankinginstitute.org/)。『Web of Debt』(『負債の網』那須里山舎刊行)は米国でベストセラーとなり、『Public Bank Solution』(本邦未訳)では、公共銀行の必要性を説いている。最新刊は『Bank on the People』(本邦未訳)で、2019年6月1日に米国で出版された。民主的な経済を研究する「The Democracy Collaborative」のフェローでもある。ブログはEllenBrown.com。
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