エリートの反逆―現代民主主義の病い | クリストファー ラッシュ, 森下 伸也
The Revolt of the Elites and the Betrayal of Democracy ペーパーバック – 1996/1/17
英語版 Christopher Lasch (著)
https://www.amazon.co.jp/エリートの反逆―現代民主主義の病い-クリストファー-ラッシュ/dp/478850605X/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=16ZZZGSB1G8SC&keywords=エリートの反逆&qid=1693419612&sprefix=エリートの反逆%2Caps%2C177&sr=8-1
民主主義は今や「大衆の反逆」ではなく「エリートの反逆」に脅かされている。コスモポリタニズムや国際化、ネットワークの美名に隠れて市民としての責任を放棄しつつあるエリート・知識人文化の病理を痛烈に抉り出す。
内容(「BOOK」データベースより)
5つ星のうち3.0 目次2023年5月31日に日本でレビュー済み
民主主義の病い
社会的分裂の深まり
エリートの反逆
約束の地における機会
民主主義は生き残るにあたいするか
コミュニタリアニズムかポピュリズムか:同情の倫理と尊敬の倫理
民主的討論の衰退
会話と市民としての技術
ニューヨークの人種政治
公立学校:マンと想像力への攻撃
失われた論争術
学問界におけるニセ急進主義
魂の闇夜
恥の消滅
フィリップ・リーフと文化という宗教
世俗化時代の人間の魂
訳者あとがき
参考:
achyu
5つ星のうち5.0 現代社会の抱える宿疴を剔抉2019年10月18日に日本でレビュー済み
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九州大学の施氏が著作の中で紹介していたので読んでみた。グローバル化によるエリートの堕落、個人主義、場の感覚の喪失、メリトクラシー等、現代社会の根本問題への批判が鋭い。20年以上も前の本だがその視点は古さを感じさせない。
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野火止林太郎
5つ星のうち5.0 現代の現実を照射するラッシュの慧眼2007年2月17日に日本でレビュー済み
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ニッポンはアメリカの後を歩く、いや走っているのである。これは何もブッシュの飼い犬ポチと言われた小泉およびそれを継承する現政権のことだけをもって言うのではない。それは広く文化全般、イデオロギー全般に関わることである。
名著中の名著、クリストファー・ラッシュの『ナルシシズムの時代』(ナツメ社、原題は『ナルシシズムの文化』)が訳出刊行された80年代、日本はバブルに突入し、このアメリカイデオロギー分析の通りに腐敗し、今日に至るのである。この国はラッシュの著作を追う様に時代を辿っていくと言うべきか。ラッシュの遺書『エリートの反逆』で説かれているところは、そのほとんど全てが現在の日本国の分析かと見紛う。
いやそれには根拠があるのだ。
グローバル化、またウェブ進化、ネット社会などと言う「新現実」とやらをでっち上げ、政治的言説の可否を問うことは無く、現実を絶対肯定するエリートなる輩たち。それはほとんど反知性主義とも言うべき浅はかさだ。「現実」の意味を曲解し、それに群がるマスメディアはひたすらおこぼれにあずかろうとしているのだ。
あらゆる学問は商売人の道具、手段に成り下がった。その急先鋒が経済学だ。法律学も根源的な哲学議論を回避する。ラッシュの極々当たり前の言述が、何か賢人の稀なる言葉に見えてくるではないか?
誠に現代はグローバルなナルシシズム・シンドロームに病んだ世界なのである。
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DreamChaser
VINEメンバー
5つ星のうち4.0 エリートへの痛烈な批判の書2005年7月13日に日本でレビュー済み
現代社会が抱える問題,特に民主主義が機能不全に陥っている原因を,大衆の反逆としてではなく,エリートの反逆として捉えています.エリートが極めて自己中心的であること,歴史認識を欠いていること,マスメディアから垂れ流される情報によって大衆は議論する能力を奪われてきたことなどが問題点として指摘されています.
経済などのグローバル化に酔いしれ,ノーブレス・オブリージュを放棄して,民主主義や市民社会を腐食しつつある知識人および経営エリートへの痛烈な批判の書と言えるでしょう.
教育や宗教など話題は多岐にわたり,膨大な引用がなされており,非常に内容の濃い本です.このため,きちんと理解するのはかなり難しいですが,暇潰しとしてではなく,真剣に読むに値する内容です.
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tosihiro4
5つ星のうち5.0 「エリート=強者」による民主主義破壊への警告書2003年10月8日に日本でレビュー済み
現代における経済のグローバリゼーションの荒波と民族紛争によって、危機に立っている近代国民国家の現状について、それについての分析をテーマとする著書が、現在巷にあふれかえっているのが現状です。(例えばネグりの「帝国」なんかはその良い例ですが)
経済的なグローバリゼーションと民族紛争によって、「国民国家」や「議会制民主主義」という近代の発明品が大いなる危機にある現状をいち早く分析したのがこの本ではないかと考えます。
普通、議会制民主主義が機能しなくなりファシズムに陥った原因は、利己的な大衆が政治を牛耳ったからだと考えるものです。(その代表例がオルテガの「大衆の反逆」です)
しかし、この本の著者ラッシュ(断っておきますが彼は歴史学者です)は、国民国家と議会制民主主義を危機に陥れた元凶は「大衆」ではなく、逆に「エリート」の側にあるのではないか、と主張します。
国民国家と議会制民主主義を危機に陥れる「エリート」の内実とは、グローバルに拡大した株式市場に寄生する大口投資家、証券アドヴァイザー、証券アナリスト、そして彼らの指示を受けてひたすら会社から報酬をふんだくる大企業経営者やビジネスローヤーたち、更には「大学の自治」から生ずる特権に胡坐をかきながら「貧者の味方」や「反普遍主義者」「急進主義者」「ポストモダニスト」を演じる大学の教授陣、と言った本来ならば国家に対してノブリッシュオブリージュを行使すべき人間が、自己の既得権益を守る為に、一般の国民の権利を蹂躙するとか、国民を内部分裂させるようなことを平然と行っている、と言うものなのです。
以上の「エリート」たちの腐敗堕落ぶりに対して著者は胸の空くような語調で、痛烈に批判しているこの本は、日本で発行されてから6年経っている現在でも「エリート」研究についての重要な資料であり続けていることはいうまでもありません。いや、むしろ彼が指摘している以上に「エリート」が世界を蹂躙しているのかもしれませんけれども…。
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…「弱者保護への怒り」は決して異常な反応というものではなく極めて一般的、かつ、凡庸な反応だということが政治社会学的に知られています。これは、政治社会学の世界では、1990年代から西側諸国で起こった新しいタイプの「ルサンチマン」だと言われています。
その点を指摘した代表的論客がアメリカの社会批評家で歴史学者のクリストファー・ラッシュです。
ラッシュは『エリートの反逆』の中で1990年頃から、民主主義国家におけるエリート達が、「弱者が享受する社会的保護や公共サービス」を攻撃し、彼らが支援する政治的勢力による差別的な政策を支援する、という奇妙な現象が起こっていると指摘します。そしてこれこそ、現代民主主義の深刻な病理だと論じたのです。
【藤井聡】保守系インフルエンサーがインボイスに賛成するのは「ルサンチマン」故である ~ラッシュ『エリートの反逆』が明らかにした"強者"の弱者に対する怨嗟~

From 藤井聡@京都大学大学院教授
こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。
「インボイス」について、ここ半年ほどあれこれ情報配信してきましたが、なかなかその真実が国民に知られていない、という残念な状況があります。ようやく、この度地上波TV(正義のミカタ)でも一部取り上げられたのですが、メインで解説した方(森永康平さん)とは違う見解をお持ちの出演者がおられたということで、番組内容が混乱してしまい、視聴者にはあまりしっかり分かり易く情報が提供されなかったようです。
ついては当方の個人メルマガ『表現者クライテリオン編集長日記』で、その様子を解説すると共に、なぜそんなヘンテコリンな言説が特に保守論客系の方々からあるのかについて、社会科学的に解説しました(https://foomii.com/00178/20230320171958106917)。
如何にご紹介差し上げますので、是非、ご一読下さい!
……
インボイス制度については賛否入り交じって色んな意見がネット界でも飛び交っていますが、煎じ詰めて簡単に言うと、次の様なものです。
「インボイス制度が今年の10月に導入されると、今まで消費税を納める必要が無かった売り上げ1000万円以下の零細事業者・個人事業者達も、(事実上)消費税を納めなければならなくなる」
つまりインボイス制度の本質は、「免税業者からも税を取り立てるようにする制度変更」なのです。
そうなると、デザイナーだとか声優だとか一人親方や個人タクシードライバーとかも、今まで払って無かった税金を払わないといけなくなります。
例えば、800万円の売り上げがあったタレントさんは、インボイスが入れば(かつ値上げしなければ)約73万円もの大増税になるのです!(一応、当面は納税軽減措置が執られるようですが、結局はこうなります)
ちなみにここで重要なのは、その業者が今までお客さんから「消費税は頂きません!」というスタンスで商売をしていたとしても、それとは無関係に、(インボイス制度になれば、先の例で言えば)約73万円を納税すべきだという事になります。
その結果、多くの事業主の貧困化が一気に進行する他、廃業に追い込まれるケースも多発する事になります。実際、声優業界は、インボイスが入れば3割弱が廃業を検討すると表明しているそうです。
そんなこんなで、全国の零細事業者、個人事業者はインボイスに大反対している、という次第です。
(なお、それだけの増税に耐えかねた事業主は、何とか生き延びようと、「値上げ」を試みます。そうなると、発注業者も我々消費者も皆、値段が上がる、という不利益を被る事になります。つまり先の73万円を、タレントさん(下請け)、TV局(元請け)、あるいは、視聴者(消費者)の三者が分担しながら負担する事になるわけですから、結局皆にとって不利益が生ずるのです)。
……ということで、テレビ番組「正義のミカタ」で先週の土曜にインボイスが取り上げられたのですが、そこで大変奇妙な現象が起こったのです。
番組内でも、番組後のネットでも、
「インボイスの何が悪いんだ!」
「今まで、零細・個人事業主は消費税を納めてなかったのがズルいのだから、払うのが当たり前だ!」
という声が多数湧き上がったのです。
そしてそうした声の中には、あからさまに「インボイス反対論者に対する嫌悪の念」の表明も含まれていました。例えば、高橋洋一さんは、
「番組で出てきた反対団体を見たら、ゾッとしますよ」
https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1637061370553458688
とツイートされています。
これはもう、インボイスの中身に対する批判というよりも、インボイスに反対する人達に対する嫌悪というべきものですね。
これは「大阪都構想」の時に生じたものとよく似た現象です。
大阪都構想は、大阪市民を守る共同体である「大阪市」を廃止するという話で、それに対して反対運動が起こったわけですが、その反対運動に維新や高橋さん等の保守派の人達は激しい嫌悪、憎悪を表明されたのです。
このインボイスについても、「1000万円以下の事業者の免税制度」を廃止するという話だから、それに対して反対運動が起こっているわけで、それに対して、保守の論客達が嫌悪、ないしは憎悪を感じておられるわけです。
ですからこの両者は、「弱者保護を廃止する事に対する弱者からの反対」に嫌悪・憎悪する、という意味で全く同じ構図なのです。つまり「インボイス導入」も「大阪都構想」も、「社会的弱者を保護する制度の廃止」を意味するもので、それに対して、一部の保守論客や維新らが推進しようとし、それに反対する勢力に対して「ぞっとする」という嫌悪や憎悪の念を差し向けているわけです。
しかしながら、高橋さんの態度に象徴されるこうした「弱者保護への怒り」は決して異常な反応というものではなく極めて一般的、かつ、凡庸な反応だということが政治社会学的に知られています。これは、政治社会学の世界では、1990年代から西側諸国で起こった新しいタイプの「ルサンチマン」だと言われています。
その点を指摘した代表的論客がアメリカの社会批評家で歴史学者のクリストファー・ラッシュです。
ラッシュは『エリートの反逆』の中で1990年頃から、民主主義国家におけるエリート達が、「弱者が享受する社会的保護や公共サービス」を攻撃し、彼らが支援する政治的勢力による差別的な政策を支援する、という奇妙な現象が起こっていると指摘します。そしてこれこそ、現代民主主義の深刻な病理だと論じたのです。
日本で言うならそれは、弱者を切り捨てる新自由主義や構造改革やグローバル化を自民党や維新が推進し、それを「エリート知識人達」が支援するという現象に対応します。
先日、成田祐輔氏が「働けない高齢者は集団自殺しろ」と発言し、それをホリエモン達が支持するという現象がありましたが、これもまた同様の話です。
彼ら「エリート達」は、弱者保護(低所得者や高齢者に対する保護)に対して、激しい不公平感を抱いているのです。
この理由について、ラッシュは、『彼らは自らが稼いだカネの何十%、場合によっては、半分以上ものカネを、税金として納めている一方、貧困者や高齢者達は、全然働かず、彼らが納めた税金で保護されて生きている、という事について激しい不満を感じているからだ』というものだと論じています。
現代民主社会では、そうした弱者保護が当然だということになっており、それによって「強者達」は不利益を被っているわけですが、彼らにはその現状を変えられないわけです。
こうした不満があるのに、その状況を変えられない……と言うときに生ずるのが「ルサンチマン」(弱者の怨嗟・怨恨)なのです。
長い間、このルサンチマンは弱者から強者に対して抱くものだったのですが、先進諸国が法的に弱者保護を制度化したものだから、今度は強者から弱者に対する恨みつらみが生まれ、これがルサンチマンと化したのです。
こう考えると、当方がインボイス導入に対する反対論を展開した途端、保守の論客達が一斉に筆者を批判し出すのは、強者・エリート達が抱く典型的なルサンチマン故なのだ、という実態が見えてきます。
で、財務省は兎に角、カネをたくさん吸い上げる制度をつくることを自己目的化しているので、
「消費税で、弱小業者が利益を得る益税があるのです!」
なぞという説明を繰り返し、そういう強者側のルサンチマンを煽って、弱者達から搾取しようとしているわけです。
ホンットに、おぞましい話ですが、現代人は、このコンクリートジャングルの中の、単なる野蛮人と化しつつある、ということですね。
ホント、ぞっとしますね('-'*)。
では、また来週!
追伸;
「表現者クライテリオン編集長日記」では、次の様な記事も配信しています。ご関心の方は是非、ご一読下さい。
岸田総理のウクライナ電撃訪問をどうみるか? ~それは日本の国益にとってプラスなのかマイナスなのか~
https://foomii.com/00178/20230322001652106960
インフレはコストプッシュ型であってもメリット"も"あり! しかし岸田内閣が緊縮を続ければ、日本は確実にデフレに舞い戻る。
https://foomii.com/00178/20230318072921106828
映画『仁義なき戦い』の真の主役は「全てをダメにしていったクズ中のクズリーダ」である金子信雄である。それはまさに現代の<岸田文雄>の先駆けであった。
https://foomii.com/00178/20230319132951106866
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