2020年8月2日日曜日

新型コロナ:日米欧の追加対策、1カ月で200兆円 独は消費刺激にシフト/日本、執行速度見劣り

新型コロナ:日米欧の追加対策、1カ月で200兆円 独は消費刺激にシフト/日本、執行速度見劣り :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60006280U0A600C2EA2000/

日米欧の追加対策、1カ月で200兆円

新型コロナウイルス対策で主要国が財政出動を一段と積み増している。日米欧主要国の対策追加額はこの1カ月あまりで少なくとも200兆円規模と4割近く増えた。ドイツは投資や消費を刺激する第2弾の対策をまとめ、米国も中小企業の雇用維持策を大幅に拡大する方針だ。日本は主要国でも大型の対策をまとめたものの、給付金の執行の遅れやコロナ対策と関連の薄い事業の予算計上も目立ち、速度や効果に課題がある。
追加額の200兆円規模は日本、米国、ドイツ、フランス、イタリアの経済対策の合計で、融資保証枠なども含む事業規模ベースで集計した。
国際通貨基金(IMF)の資料などを基に融資などを含めた財政出動の国内総生産(GDP)比を見ると、米欧でもっとも割合が大きいのは米国で12%超となる。追加対策を決めたドイツや従業員向けの休業補償などを拡充するフランス、英国なども4~10%程度だ。日本は財政投融資を含め18%強で、国費だけでも10%超と規模で他国にひけを取らない。
スイスのUBSグループが日米欧アジア34カ国の財政出動総額を調べたところ、過去2週間で日本のほか、シンガポールなどが追加の財政措置を決定した。世界のGDPに占める割合は3.7%から3.9%へとさらに高まり、金融危機時(1.6%)の倍以上に拡大した。
金融危機時はインフラ投資や減税が主な使途だったが、今回は4分の1が給与補填や休業補償に充てられているという。生活支援の現金給付も全体の1割を占める。UBSのチーフエコノミスト、アレンド・カプタイン氏は「給与補填などはおカネのかかる支援策だが、経済の早期復活のカギを握る」と指摘する。
米欧はさらなる対策の拡大に動く。ドイツは3日、消費や投資の回復を後押しするために、期限付きの消費減税や子育て世代への給付を柱とする総額1300億ユーロ(約16兆円)の新たな経済対策をまとめた。
従来の失業対策などから重点を移し、新型コロナの影響で落ち込んだ消費や投資の回復の後押しに振り向ける。フランスも航空会社の救済条件として二酸化炭素(CO2)の排出減を求めるなど、環境重視のマネーの取り込みを狙う。
日本政府は家賃支援などを盛り込んだ第2次補正予算を近く成立させたい考え。国費を使う「真水」の財政支出でも33.2兆円と補正予算として史上最大額だ。第1次補正予算と合わせ国費による財政出動は60.7兆円だ。
「空前絶後の規模」(安倍晋三首相)をアピールするが、問われているのは中身の実効性だ。
第2次補正予算案では使い道を特定しない10兆円もの予備費を計上。政府の裁量が過度に大きくなり、国会の監視が届かない恐れがあるとして野党が批判を強めている。
新型コロナ収束後の消費喚起策として外食や国内旅行への割引券を配布する「Go Toキャンペーン」では1.7兆円の予算を確保したが、人の集まりを促すことなどで感染者を増やす恐れを指摘する声が出たり、約3000億円の事務費に疑問の声が出たりしている。
スマート農業や公共事業でのデジタル技術導入など、重要であっても緊急性や即効性の低い事業も散見される。
執行スピードでも差は歴然としている。米国は従業員の雇用を守る中小企業への給付額が5千億ドル(約54兆円)を突破し、支援枠の8割を消化した。議会はすでに増額の検討に入った。
これに対し、日本の雇用調整助成金は3日時点で申請件数10万390件に対し、支給決定件数は4万9091件と半分程度だ。支給決定額は5月29日時点で約183億円と支援枠のうちわずか。オンラインで手続きが完結せず、煩雑な手続きが支給のスピードを落とす壁になっている。
コロナ禍が長期化する中、年内には第3次補正予算の編成も視野に入る。「規模ばかりを優先する対策が繰り返されかねない」(ピクテ投信投資顧問の市川真一氏)との声が上がる。規模だけでなく政策の効果に焦点をあてた取り組みの加速が欠かせない。
(税財政エディター 小滝麻理子)

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